精神科で使われる薬のことをひっくるめて向精神薬と呼んでいます。以前も解説しましたが、向精神薬の中に、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、睡眠薬、抗不安薬などがあります。

今回は、それらの薬の効果発現までにかかる時間、即効性についての話題です。

 

鎮静がかかる薬は比較的早く効きます。と言うか、早く効かないと意味ありません。リスペリドン液など液体の薬の鎮静作用は10~15分で効果が出現し、落ち着きが出てきます。

一方で、抗うつ薬は最低でも2週間。通常は4週間ぐらいかかります。4週間で効果がみられなくても8週間はみて、8週間でも効果がなければ、効果ないということで変薬。

じゃあ、失った8週間を返してくれ~、と言いたくなりますけどね。

そこで、即効性の得られやすいベンゾジアゼピン系のロラゼパムなどを短期間限定で併用することはあります。

 

また、うつ病の例ですと、各症状の回復過程に時間的差があることも指摘されています。下記の図をご覧になっていただくと解りますが、治療開始後、間もなくしてイライラ、不安、抑うつが改善し、興味、楽しみ、生きがいは後半の方で改善していくものと言われています。

意欲低下を訴える患者さんがいますが、抗うつ薬を投与し、抑うつ気分が改善してきても、まだまだやる気が出てこないと言われます。

なので、予め患者さんには言っておきます。意欲が上がってくるのは後半戦、治療も仕上がり状態に近くなってから意欲が出てきます、なので、根気よく一緒にやっていきましょうと、知識として覚えておいていただくようにします。

 

漢方薬も、風邪の葛根湯などは比較的即効性があります。飲んでから4週間後に風邪に効いても無意味ですから。しかし、多くの漢方薬には即効性がみられません。そういうものだと思っておいた方がいいです。

医師側も、ジワ~ッとゆっくり効いてくるから焦らないようにと、最初に伝えておくべきでしょう。

 

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