精神科や心療内科で、病院クラスを受診しようとすると特にそうですが、相談員の人から予診として、生い立ちなどを根掘り葉掘り聞かれると思います。

 

  どこで生まれたか、出生時に異常はなかったか。

  初語や初歩などの発達に遅れはなかったか。

  どこで育って、どんな子供だったか、虐めや虐待はなかったか。

  学校での成績はどうだったか、不登校はなかったか、部活動はしていたか。

  兄弟姉妹はいるか、家族に精神疾患にかかった人はいるか。

  高校や大学はどこへ進学したか。

  どんな仕事をどのぐらいの期間してきたか。

  嗜好(煙草/酒/珈琲)、性格や趣味、精神科受診歴、身体的既往歴。

  …等々の生活歴。

 

なんでそんなプライベートなことを聞くんだと、大層ご立腹される方もおられます。

 

精神科の場合、過去から現在までの縦断的な観察が診断のヒントになることがあるからです。

 

内科なら、胃カメラで胃潰瘍が見つかれば胃潰瘍。これまでその人がどんな食生活をしてきたかは、疫学的な研究対象にはなるかもしれませんが、診断をつけるに当たっては無関係です。云わば横断的。

 

精神科では、「うつ状態」があるとしても、うつ病でうつ状態になることもあれば、双極性障害(躁うつ病)のうつ相の状態もあるし、統合失調症でうつ状態が現れることもあります。認知症の周辺症状でうつを伴うこともあります。発達障害で不適応を起こしてうつになることもあれば、職場のパワハラ等の適応障害でうつを伴うことは頻発。

恋人に振られてうつになることだってありますし。

 

なので、うつ状態だからと、イコール単純に抗うつ薬処方というのは、ヤブ医者街道まっしぐら。そんな単純なものではありません。

現在の症状だけでは判らないことも多いので、もっと情報収集して慎重に考えます。

 

うつ状態があって、うつ病なのか躁うつ病なのか、初診ではっきりせず迷うことがあります。暫定的に使った抗うつ薬では上手くいかず、途中で躁うつ病と診断変更されるケースも多いのですが、これはやむを得ないです。

他院でうつ病と診断され、抗うつ薬を何年も内服し続けて転医してきた患者さんが、実は躁うつ病だったケースはかなりあります。

それで、うつ病と躁うつ病の治療薬が同じならいいですが、違うから厄介なんです。

 

うつ病と躁うつ病を見分ける際に、実はその人の生活歴に非常に大きなヒントが隠れていることが多いのです。

根掘り葉掘り聞かれても、そこはお許しくださいね。

 

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