口頭試問

 

レポート審査に通れば、口頭試問へ進みます。

口頭試問の内容は、口外するとお叱りを受けるので書けません。悪しからず。

しかし、口頭試問以外のことを書きたいと思います。

 

まず、会場での受け付け後から口頭試問開始までを紹介します。

私が受けた時は、約30人が来ていました。広い待合室に椅子が人数分用意され、待っている間は持参した資料などで勉強することは可です。一旦すべての受け付けが完了する午前10時になると、トイレに行く時でも係の人が一緒にトイレまで付き添うという、不正防止の徹底ぶりでした。

 

さて、受験者は、第1陣、第2陣、第3陣、第4陣に分かれます。どの陣に入るかは受け付け順ではなく、最初から決められていたようでした。

開始時間は20分毎となっていました。

 

各陣の人には各々1人ずつの付添人が付いて、別の待合室まで一緒に移動します。その待合室は狭く、椅子に着席して間もなく、係員の指示で奥にある口頭試問室の方へ移動します。もちろん、1人1室です。全員が各々の試問室のドアの前に立ち、係員の合図とともにドアをノックして、一斉に入室します。そこから口頭試問が開始となります。

 

狭い試問室の中で、2人の審査員(40代ぐらいと50代ぐらい)が各々ノートパソコンを開けていました。パソコンの中に私の症例が入っているんだろうなぁ。

もう1人、係員の若い女性が立会人の役なのか、座っていました。

 

1問目は40代の審査員から。

某A症例について(審査員から指定される)、説明してくださいというものでした。どんなふうに質問されたのかは詳しく書けませんが、レポートを提出した上での口頭試問ですから、症例の説明が求められるのは言うまでもなく想定内の話です。

これはスラスラ言えました。自分が担当した症例なら、光景がありありと目に浮かぶものであるはずですし…。

ここで、何故そのA症例を聞かれたのかは解りません。B症例を聞かれたら嫌だなあと思っていて、特にB症例のストーリーを集中的に復習していましたが、空振りでした。措置症例もややこしいので、聞かれたら嫌だなあと思っていましたが、かすりもしませんでした。

 

もう1問は50代の審査員から聞かれましたが、内容を書くとまずいので書きません。改めて悪しからず。こちらは完璧な回答ではありませんでした。私は上手く答えたと思っていると、「他には?」と聞かれて一瞬「えっ!」となってしまい、同じ質問を40代の審査員が少し言い方を変えて繰り返しましたが、若干補足した程度の回答しかできませんでした。不完全ではありましたが、概ね正解というか…。

 

さらに何か聞かれるかと思っていたら、それで終わりました。私の前の陣が長引いていて、時間が押していたのかもしれません。そのせいか、私の場合は時間が短かったです。2問目の質問で回答不十分で落とされるなら、救済のためのもう1問あるかなと思いましたが、結局3問目はありませんでした。

こりゃあヤバいかと思いましたが、結果的には2問目の回答で一応合格レベルということだったんでしょうね。重要な部分を答えることができていましたから。

 

精神保健福祉法の第何条のなんちゃらとか、そういったものは覚えなくてもいいようです。事前の講習会でも、講師の先生がそう言っていたように思います。

しかし、試問前に一生懸命暗記していた人もいたようですが…。

 

 

  申請から合格までにかかった期間

 

まず、2021年5月の上旬頃の14時に、講習会のWEB受け付け開始

14時にすぐに申し込んで席を確保。これ、すぐに満員御礼になるらしいですね。私は2022年3月実施の講習会を申し込んで参加しました。2022年6月の締め切りまでに症例レポートが間に合いませんでしたので、6月はパス。

その後、一部繰り返しになりますが、締切日の1日前である2022年12月26日に県庁の担当部署に直接レポートを提出しに行きました。不備がないかなど担当者と一緒にチェックしながら受理していただけます。

郵送される方もいるようですが、直接持参の方が無難です。

持参する何日か前に、電話予約しておくことは必須です。担当者が対応していただけなければ、直接届けに行く意味がないですから。

 

そして、このレポートの審査にとんでもなく時間がかかります。

2023年5月22日、口頭試問の実施場所希望を問う封書が届きました。レポート合否を伝える封書ではなくて、「仮にレポートが受かったとして」口頭試問を受けるとしたら、東京会場と大阪会場の各2日間のうち、都合の悪い日を教えてくださいという内容のお知らせでした。

東京は9月2日か3日、大阪は9月9日か10日。この4日間のうち、都合の悪い日を消してくださいという内容でした。回答はWEBでしました。

 

実際にレポートが通り、口頭試問に進んでいただくことになりましたという知らせが届いたのは同年8月7日。口頭試問の会場と日時などが指定されており、それを示した書類などが届きました。

 

 

  1泊2日の小旅行

 

2023年9月、口頭試問を受けに行きました。ここから写真をズラズラ。

前日は会場近くのホテルに泊まりました。狭いビジホ。9,100円でした。

晩メシは、スーパーで買った総菜。テレビでも見ながら摘まみます。

酒を買ってくるのを忘れました。普段から酒はあんまり飲みませんけどね。

慶応大学医学部を蹴った怜ちゃん、御年45歳。

テイクアウトもあったようですが…。

風呂とトイレはユニット。狭いですね。薬屋さんの招待で講演会などに参加すると、マリオットとか帝国ホテルとかすごいところを取ってくれるんですが…。

それとは大違い。まあ仕方ないですね。

 

ちなみに、口頭試問の宿泊費や交通費も出張扱いで病院が出してくれました。ありがたい話ですが、ホテルは10,000円以内という規定なので、このクラスのホテルになりました。

 

窓からの風景。

朝メシです。

遅刻しないように会場に向かいました。

そして、前述のような要領で、やれやれ終わりました。

 

合格発表の日は何日と決まっておらず、年により異なるようです。というのも、全国で足並みをそろえて一斉に発表することになっているためで、どこかの県でいろいろあると、発表まで滞ります。例えば、厚労省の方で改めてレポートをチェックしたところ、入退院日などが同じ症例が2つ見つかれば、同一症例ではないかと疑って調べるわけです。そういう最終チェックで時間がかかることもあると考えられます。

 

 

  合格発表

 

12月に入っても通知が届かないので、一体どうなっているんだろうと思っていたところ、2023年12月5日の昼過ぎに、県庁の担当部署から職場へ電話がかかってきました。私につないでもらい、話を聞いたところ、担当者曰く、合格の連絡が来ておりますとのことでした。

5ケタの指定医番号もいただきました。そして、前日の12月4日付で登録され指定医業務が可能とのことでした(と言っても、前日に指定医業務のしようがない!)。

実はその日、医療保護で入院した患者さんを担当することになり、他の指定医の先生に指定医診察をしていただきましたが、本当は自分でも医療保護入院の手続きができたんですね。

例年は合格発表が多分もっと早いと思いますが。

 

合格の電話があったことを院長に報告したところ、早速給料をアップしますと言われました。お手当ですね。巷の民間企業などではなかなか給料が上がらないのに、ありがたいことです。それも、月1万円や2万円などのみみっちい資格手当ではなくて、もっとド~ン!と…ですよ。

 

そして、指定医証が同年12月8日、速達で届きました

申請の2022年12月から合格発表まで、11ヶ月半ぐらい、ほぼ1年かかりました。

講習会が2022年3月ですから、そこからだと1年9ヶ月ですね。

講習会のWEB申し込み受け付けの2021年5月からだと、なんと2年7ヶ月。

いや~ぁ、時間かかりましたわ。

 

しかし、嬉しいというよりは、業務の負担が増えるため、正直言って頭が重かったです。今は事情あって当直していないのですが、輪番当直をやってくださいと言われるのかなと思うと…。まだ今のところ、それ言われていませんが。

 

取り敢えず精神科医としては、精神保健指定医を取って独り立ちできる素地ができましたが、今の病院は人間関係もいいし、居心地もいいので、特に転職して流離う気はなく、恩返しの意味もあるし、あと10年ぐらいは今の病院で頑張るつもりです。

 

これを書いている時点で、指定医取得後3週間余りが経過。

既に医療保護入院が3件、措置入院の鑑定が1件、医療保護入院者の定期病状報告書作成が1件ありました。

外来では指定医で取れる診察料を取っていますし、入院3ヶ月以内の患者さんの診察は前述のとおり1回の診察料が1,500円から4,000円になっています。

診療報酬がもろに増えるので、病院にも貢献できているということでしょう。

 

以上、精神保健指定医の資格取得の顛末を書かせていただきました。

今後同資格を取ろうとお考えの方々に、いくらかでもご参考になれば幸いです。

 

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