コミュニケーション技法の前に必要なもの | 自律進化組織研究所 (改 : 患者サービス研究所)

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■みなさんは、NLPという心理学を基礎にした

カウンセリングをご存知でしょうか?

 

以前、NLPとコーチングを

専門アカデミーで学んだばかりの知人が、

自分で立ち上げたコミュニケーション・スクールで

さっそく登壇し、

カウンセリング手法についての、

こんな演習を指導していたことがあります。

 

▶︎クライアントに自信を持たせるための方法

 

人は、

自分が成功すると信じてくれている人から励まされれば、

心強いものですが、

自分が成功するという未来を知っている人から励まされれば、

こんなに心強いことはありません。

 

そこで、そんな体験をする演習をしたのです。

 

まず、2人1組となり、

クライアント役には将来の夢について語ってもらい

カウンセラー役は、それをじっくりと聞きます。

 

それから講師は環境ミュージックを流し、

カウンセラー役に、目を閉じるように言いました。

 

そこからは、イメージの世界へと誘います。

 

「今のその場から、ゆっくりと空中に浮かんでください。

足元に、この部屋の様子が見えるはずです」

 

「天井をすり抜けて、上空へと昇ってください。

足元に、この建物が見えるはずです」

 

「もっともっと、上へ昇ってください。

下を見ると、この街が見えるはずです」

 

「では、そのまま10年後へ飛んでゆきましょう。

下を見ると、10年後のクライアントがいる街が見えてきます」

 

「ゆっくりと降りてゆきましょう。

クライアントのいる建物が見えてきます」

 

「さらにゆっくりと降りてゆきましょう。

クライアントのいる部屋の中が見えてきました」

 

「そこには、

立派に成功したクライアントの姿がみえるはずです。

じっくりとその様子を観察してください。

 

誰がいて、

どんな話をして、

クライアントは何をして、

どんな表情で、

どんな話をしていますか?」

 

「充分に、観察できましたか?」

 

「では、現在へと戻りましょう。

ゆっくりと空中に浮かんでください。

足元に、この部屋の様子が見えるはずです」

 

「さらに上へ昇ってください」

……(中略)……

「さあ、現在のこの部屋に戻ってきました。

はい、目を開けてください」

 

音楽が止められ、

再度、カウンセラー役は、クライアント役と向き合います。

 

そして、講師が言います。

 

「では、カウンセラー役の方は、

自分が見てきたクライアントの方に、

自分が見てきた

10年後のクライアントの方の様子を話してあげてください。

では、どうぞ」

 

カウンセラー役は、

目の前のクライアント本人に、

クライアント自身の10年後を、

克明に話して伝えます。

 

どんなに大成功しているか、

どんなに自信に満ちた表情をしていたか、

どんなに幸せな様子だったか…、

 

カウンセラー役は、

それを今、自分の目で見てきた通りに話すのですから、

クライアントにとって、

こんなに勇気づけられ、嬉しいことはありません。

 

■………というセッションの演習。

 

演習といえども、

うまく行なえば、感動的な場になるはずです。

 

が、

わたしが立ち会ったそのセッションでは、

残念ながら、参加した方々は、

「はあ、そういう技法なんですね〜」

という反応でした。

 

その講師は、NLP・コーチングの専門アカデミーで

70万円の受講料を支払って学んだそうです。

 

そこで感銘を受け、

早速、自分が立ち上げたスクールの

デモンストレーション講義(参加費8,000円)で教えたのです。

 

■なぜ、効果が上がらなかったのか?

 

みなさんなら、すでにお判りでしょう。

 

わたしの知人は、

70万円を払って臨んでいましたから、

学んだ時には、

すでにそのアカデミー講師の、熱心な信奉者になっていたのです。

 

学ぶ気満々であれば、

みずから感情移入できるモードになっていますから、

それは効果的なセッションになったことでしょう。

 

感銘を受けるのも無理ありません。

 

このセッションは、

仮想体験によって感情にアプローチする手法なので、

そもそも、カウンセラー役との間に、

クライアント役の方が没入できるだけの信頼関係がなければ、

効果は生まれません。

 

もし懐疑的な部分があれば、

感情が動かないので、

単に「技法の伝達」となってしまい失敗に終わります。

 

冷静な頭で行なえば、

妄想ゲームにしかならないからです。

 

プラセボ効果も、

メンタル疾患には現れやすいと言います。

 

感情を動かすことならば、

その気になる程、効果が現れますが、

その気になっていない人がやらされても効果は上がらないのです。

 

■ということは、

つまり何より、

「感情を動かしたいならば、まず関係性づくりから」

しなければならない、ということです。

 

職場でも同じです。

 

もし同僚や部下職員の感情にアプローチしたいならば、

コーチングや

アサーションや

NLPなどの

技法をいくら学んでもそれだけでは、

実現したいことが叶うことはありません。

 

それ以上に、まず先に

「関係性づくり」

をすることが、不可欠だということです。

 

しかし、世の中で、

コミュニケーション技法は教えられていますが、

それ以上に重要なのは、

「関係性づくり」

なのです。

 

何事も、

受け止めやすいように関係性を作ってから

メッセージしなければ、

伝わることも伝わりません。

 

しかし、ほぼすべての組織で、

「関係性づくり」

が行なわれていません。

 

みなさんの職場においては、

全ての職員同士の間に、お互いに

「なんでも受け止めやすい関係性」

が築かれているでしょうか?

 

職員同士が互いに

「なんでも受け止めやすい関係性」

を築くための最もシンプルな方法

それが

「HIT-Bit」

です。