PC周辺機器情報 電子書籍における漫画インタフェースを大いに語る(前編)
いま、電子書籍のプラットフォームで漫画が配信されるケースが増えつつある。イーブックジャパンなどの電子書籍ストアにおける販売はもちろんのこと、先日は少年ジャンプやマガジンといった漫画雑誌が、期間限定ながら電子書籍での無料閲覧という試みを行ったことも話題となった。これとは別に、自炊して電子書籍端末で読むためのビューワアプリも数多くリリースされるなど、漫画を電子書籍端末、もしくはPCの画面上で読むための環境整備が進んでいる。
しかし、本職の漫画家がサービスの仕様策定に関わっている「Jコミ」や「漫画 on Web」はともかく、多くのビューワでは漫画を描く側、つまり漫画家の意見がほとんど反映されずにインタフェースなどの仕様が策定されつつある感が強い。タップやフリックといった操作に対する挙動はもちろん、端末の向きを変えたときの挙動、さらには一部のフォーマットで実装されつつある、画面サイズを変更した際にコマが分割表示されるリフロー機能などだ。一方でケータイコミックのように、おおよそ漫画の文法とはかけ離れた実装でありながら、定着しようとしている挙動も存在する。
こうした現状について、電子書籍の出版経験を持つ現役の漫画家3名に集まってもらい、思いのたけを語ってもらった。インタフェースに対する考えはもちろん、漫画界を取り巻く現状、さらには紙か電子書籍かという問題を超えた本の流通に対する提言まで、熱い意見が飛び交った。本稿ではこの座談会の様子を3回に分けてお届けする。
●座談会に参加いただいた方々
うめ・小沢高広
2人組漫画ユニット「うめ」の主に原作担当。妻は主に作画担当の妹尾朝子。代表作「東京トイボックス」「ちゃぶだいケンタ」。現在月刊コミックバーズにて「大東京トイボックス」、月刊コミック@バンチにて「南国トムソーヤ」を連載中。2010年2月、Kindle Storeで初の日本語漫画「青空ファインダーロック」を発売。若き日のApple創設者を描いた「スティーブズ」をパブーで公開したことでも話題となった。
URL:http://www.chabudai.com/
一色登希彦
東京離脱作業中の漫画家。代表作「日本沈没」「モーティヴ ー原動機ー」「ダービージョッキー」。現在『ジャンプSQ.19』にて「水使いのリンドウ」連載中。オンライン漫画サイト「漫画 on Web」で過去の著作を販売するほか、2011年5月からはeBook Japanにて「ダービージョッキー」全22巻を販売。
URL :http://toki55.blog10.fc2.com/
藤井あや
ボーイズラブ系漫画家。代表作「桃色男子」「男巫女」。現在「コミックJUNE」「Boy'sLOVE」にて「桃色男子~檸檬編~」「男巫女」連載中。2010年2月、Kindle Storeで桃色男子の英語版「Peach BoyMOMO&MIKAN」を発売。「日本Kindleの会」の管理人も務める。
URL:http://ayafujii.jp/
司会進行:山口真弘
テクニカルライター。PC周辺機器を中心としたハードウェアレビューが専門だが、最近では電子書籍に関連した漫画家や事業者へのインタビューも多い。「徹底討論 竹熊健太郎×赤松健 電子出版時代における漫画編集者のあるべき姿」「『沖縄発の本』を電子書籍で全国へ──沖縄eBooksの挑戦」など。
●「電子書籍を本気で意識するなら、見開きを全廃する覚悟が必要」(一色)
── 今日は電子書籍における漫画インタフェースというテーマなのですが、まずは電子書籍によって漫画そのものの描き方が変わるのかどうかを伺っていきたいと思います。まず小沢さん、小沢さんはKindleでの出版やパブーでの著書販売など、電子書籍に対してさまざまに取り組まれていますが、どう思いますか?
小沢 描き方について言えば、最近は、文字の級数は20Qを使うようにして、18Qの比率を減らしつつあります。iPadでは、見開きの場合20Qくらいのサイズでないと読めないからです。ただ、最近ストーリーが混みいってきてセリフが長くなってきたので、やっぱり18Qにして、技術の進歩に任せようかなと思っていますけど(笑)。
実は今、Photoshopからコミスタ(注:ComicStudio)に移行しつつあるんですが、コミスタはトーンを最初から網点で貼れるんですよ。でも網点にした場合のモアレの出方はビューワによって異なるので、意図的にグレーのデータをマスターとして保存しています。グレーで保存しておけば、後から網点にすることは簡単なので。
電子書籍によって漫画の表現そのものが変わるのかどうかについては、例えば見開きを減らそうとか、そうした意識はありませんね。
── 次に一色さんに伺いたいのですが、一色さんは「日本沈没」などの作品を拝見する限り、見開きの表現を多用されるケースが多いと思いますが、現時点での電子書籍は見開き表示をあまり得意としていませんよね。ネームを切ったり完成原稿を描く際に、こうしたことを意識されることはありますか。
一色 ないですね。いまのところ紙の雑誌に載せることを前提に、紙の雑誌のルックベースで考えてしまいます。電子書籍を本気で意識するなら、見開きを全廃する覚悟が必要でしょうし。
── 一色さんは佐藤秀峰さんが立ち上げられた「漫画 on Web」に出展しておられますけど、漫画 on Webは基本的に見開き表示ですよね。
一色 見開きのみでしたが、今はiPhoneやiPadでも見られるようになっていて、それらは縦持ちしたときは片ページずつ表示できます。
── なるほど。続いて藤井さんですが、藤井さんはボーイズラブ(BL)というジャンルからして、ケータイコミックで出版される割合も多いですよね。
藤井 ええ。BLについて言えば、最近はどこの版元さんも、ケータイで出すことを前提に紙の本を出しています。
小沢 ケータイコミックだと画面上はコマ単位で表示されますが、原稿自体は普通に描くんですよね?
藤井 そうです。作家さんとしては紙で出してほしい方がほとんどなので、コミックの発売と同時にガラケーの方でも出すと。女の子はみんな携帯を持ってて常に見てるから、宣伝にもなるんですよね。ガラケーで配信が始まればmixiに広告バナーが載って、そこから紙の本にも興味を持ってもらったり。
── 電子書籍が紙の本の販促にもなっているという。
藤井 出版社はそう考えている節がありますね。
●「編集というのは特殊技能ではなく立場で、もともと人にある能力」(小沢)
── 小沢さんや一色さんは、ケータイコミック向けには作品を出されていましたっけ?
小沢 ケータイコミックはないですね。
一色 出版社の方で出していたと思うんですが、それを見られるガラケーを持ったことがないので、自分では見たことがありません。
小沢 ケータイで読んでると(バイブ機能で)揺れたり、スクロールしたりするじゃないですか。ここはこの動きじゃないのに! というのはあります? 紙の漫画だと、ここはこの書体じゃないよ! いうのがまれにあるじゃないですか。
藤井 作家さんによるんですよ。わたしは編集さんに渡した原稿は、編集さんに好きにいじってほしいタイプです。わたしがいじるとこだわりの部分で我欲が出ちゃうから(笑)。オリジナリティを出したい作家さんもいらっしゃるから、そういう人たちはたぶん指定していると思いますよ。
── ケータイコミックにせよ電子書籍にせよ、コマを分割したりバイブ機能をつけたりするのに作家さんの意向が働いているのか、それとも基本お任せでやってしまっているのかは読者から分かりにくいですよね。
藤井 そうですね。わたしは編集さんに投げたものは好きにしていいよという代わりに、ネームチェックはほとんどないんです。依頼されたものを描いて渡して終了。でも「バクマン」を読んだ人は、編集さんと二人三脚で、夜まで膝をつきあわせて作っていると思うだろうし。
小沢 でもああいう、編集さんと二人三脚で進める作り方は、昔に比べると減った気がしません?
藤井 うめさんのとこはどうやってるの? 奥さんと二人三脚で作ってるの?(笑)
小沢 ええっ(動揺しつつ)
一色 小沢さんは編集さんとの打ち合わせはするんですか?
小沢 「トイボ(注:大東京トイボックス)」は、ネーム前の打ち合わせはありません。「トムソーヤ(南国トムソーヤ)」は、だいたい今週こんなネタね、というのを1時間ほど軽くやるけど、それで終わり。
藤井 わたしもお任せといっても、この人はこうなるみたいな、着地点ぐらいはもちろん話しますよ。
小沢 トイボはそれすら話してないですね。先は誰も分からないのに描き続けてるという(笑)。最終地点は考えてるけど、過程は毎回リアルタイムで考えているという。
── 一色さんはいかがですか。
一色 僕は編集さんがいないとだめですね。編集さんとがっぷり打ち合わせをしないと。
藤井 人によりますよね。そこが編集さんの手腕というか。せっつくとダメな作家もいれば、せっつかないと描けない作家もいるし。
一色 小沢さんは、編集者とがっぷり打ち合わせをして詰めていくみたいな完成度の上げ方のやりとりを、奥さんとの間で通常やってるわけですか?
小沢 そうですね。編集者相手にやるよりもがっぷりやってます。
一色 それがあればいいんですよね。逆にそれがなくて、うめさんや奥さんが単独でやっていたら、やっぱり編集者とがっぷり打ち合わせをして完成度を上げていくことになるんじゃないかなと思いますね。
小沢 編集って、特殊技能というよりも立場、あるいはもともと人に備わっている能力じゃないかと思うんですよ。もちろんプロはプロで、その能力が高い人なわけですけど。
── 小沢さんの場合は、奥さんの妹尾さんとの間でその立場の分担がうまくできているということなんですよね。
小沢 そうですね。僕は妹尾に、「編集者スキルを上げて」というのを昔よく言っていたことがあって。向こうのアウトプットに対しては見れるので、後は自分が出したアウトプットに対して向こうが見て編集的にチェックしてもらうと、完成度が上げられるんですね。
── 一色さんは原作付きの作品が多いと思うのですが、その辺りの影響はありますか。
一色 原作を無視して作ってますからね(笑)。『ダービージョッキー』を描いていたころはどのレースはどんな展開かというプロットはもらうんですけど、その中でじゃあどんなドラマがあるとか、1話1話どんなドラマを作っていくかというのは自分と編集さんで。
小沢 じゃあ競馬新聞を原作に描けそうですね(笑)。
一色 いけますね。『日本沈没』も、(原作者の)小松左京さんから自由にやってくださいといわれて、映画のシーンも取り入れて再構成したりと好き勝手にやっていたので。原作付きとはいえ、通常の漫画家と編集者とのやりとりに帰結できたので楽でしたね。
小沢 この前「パブー×青空文庫 漫画コンテスト」という、青空文庫の小説をベースにしたコミカライズで、太宰(治)原作の作品を描いたんですけど、完成している作品と、生で毎回もらう原作ってぜんぜん違いますね。
一色 あ、それはそうかもしれないですね。
小沢 パブーが、その漫画コンテストの受賞作と、プロに頼んだ幾つかの作品をアンソロ本みたいな形で一冊の電子書籍にするそうですけど、それは本を作るという編集作業なんですよね。パブーがそこをどう思っているのかは分かりませんけど、ITの世界で言うところの企画という職種は、出版の世界でいう編集という職種と似ているなと感じます。
●「最初からこういうものだと思って触ってしまえば、違和感はない」(一色)
── 電子書籍では、紙の本と違って苦手な操作や表示方法がありますよね。見開き表示もそうですし、紙のようにページをぱらぱらめくるような動きだったり。そうした点が気になることはありますか?
小沢 ページめくりには違和感がありますね。指3本でフリックしたり、端末を傾けたらパラパラめくれたりとか、UIを考えたりはするんですけど。
紙の本は残り何ページというのが厚みで分かるじゃないですか。だから読んでいて後半になると、自分で気持ちを盛り上げながら読むことができるけど、電子書籍では数字でしか見えないのでけっこう辛い。特に漫画って、盛り上げてもらっているふりをして自分で気持ちを盛り上げているところがありますよね。残り50ページしかないのに犯人がまだ分からない! みたいな。
藤井 分かる分かる。後これだけしかページ数ないじゃん、どうするの? っていう(笑)
小沢 iBooksのインタフェースが最低なのは、両脇にページの厚みがあって、それが何回めくっても変わらないという。これジョブズに隠れて作ったんじゃないかというデザインですよね(笑)。改良されてだんだんよくなってきているという話は聞くんですけど。
── ページをめくる時のペラッていうエフェクトはどうですか?
小沢 最初は嫌いだったんですけど、慣れてくると僕はいいなと思って。
一色 全部紙の記憶のエミュレーションですよね。最初からこういうものだと思ってネイティブで触ってしまえば、違和感はないかもしれない。
藤井 わたしたちは紙世代からのスライド組だからそう考えるけど、デジタルネイティブではじめからこう読んじゃってる子にとっては当たり前ですからね。
小沢 そうそう。うちの娘はテレビの画面をタッチインタフェースだと思って普通に触りますからね。
藤井 うちもそうですよ。
小沢 どこかのテレビ番組でやっていたんですが、本のデザインってすごいよねと。もともと巻物だったのを切って糸で束ねたら読みやすくね? と考えて、やってみたら本になっちゃったよという。ペラペラめくれて、まとまった量の情報を読むのに適したデザインになっている。
一色 そうなんですよ。一冊の作りからしてそうだし、それが書架に並ぶことで単に数が並んだだけではないメタな編集がなされる。それがまた能力がある人によって編集されると面白い本屋さんになったりもする。電子書籍では、これができていませんよね。
●「既存の漫画の文法を使うのなら、横スクロールは向いていない」(小沢)
小沢 僕は、横にスクロールするタイプのビューワで漫画を見たときに、絵が横向きに流れることに少し違和感があります。めくって次のページがすぐに現れてほしい。巻物的に横にスクロールすると、消えていくページをずっと目で追ってしまうような不思議な感覚があって、漫画との食い合わせが悪い気がしたんです。いまの漫画自体、めくることを前提にみんなが試行錯誤してさまざまな表現が生まれてきたわけだから、スクロールならスクロール向きの漫画表現があるはずだと思うんですよね。
「7と嘘吐きオンライン」というWeb漫画では、1ページを4段か5段で横に切って、延々と上から下へ流れていくんですけど、それだと流れていっても気にならないんですよ。Webと同じように読めるという。だからそういう文法があって、一概にどちらがいい悪いではないけれど、既存の漫画の文法を使うのであれば、横にスクロールするタイプは向いていないように思います。i文庫HDでめくりで見た瞬間に落ち着きはいいという気はしましたけどね。
── i文庫HDはスライド/めくり/効果なしなどが設定できますよね。この、横にスクロールするのが気持ち悪いということですよね?
小沢 そうです。それをやるんだったら、1ページ表示でいい気がするんですよ。これも、縦に1ページにすると気持ち悪さが減るんですね。
一色 あー、分かる分かる。
小沢 2ページがまとめてスクロールすると、画面に真ん中の白帯があることで、1画面の中で2回上下に視線が動かなくちゃいけないんですね。それが気持ち悪さを生んでいるのかなと。
── ビューワによっては、画面を横向きにすると2ページの見開き表示になるかと思いきや、1ページの横幅を最大化して表示する仕様のものもあります。あれはどうですか。
小沢 うわー、これは何屋さんの発想だろう。絵が大きく見たいという意見を取り入れすぎちゃったんでしょうかね。
藤井 餅は餅屋といったところですかね。まったく漫画の構造を知らない人が作るとそうなるという。これ、次のページに移るときはどうするんですか?
── 延々と下にスクロールするか、ページの下部にボタンがあって次のページを読み込むか、どちらかですね。
小沢 これならWebブラウザでいいんじゃない?
── これは横書きのテキストであれば別に構わないと思うんですよね。文章を左から右に追っていって、次の行が下から現れてくるわけで、何の違和感もない。
一色 それは普通のWebの見方と同じですよね。漫画であれば、1ページの中でコマの大きさを演出しているわけだから、ページ単位で表示されてくれないと。
小沢 いずれにせよ、漫画を見ることを想定して、本職の方からヒアリングして要求仕様をまとめた節はありませんね。
藤井 漫画家だけじゃないですよね。デザイナーさんなんて、電子書籍端末の縁がつくことを考えてデザインしてるわけじゃないから、気になると思いますよ。単行本のときは縁もなくてまっさらな状態で表示されていたのが、電子書籍端末だとまた違った見え方をしてきちゃう。
小沢 ただ、それは慣れの可能性もありますよね。日本でそうとう初期に商用Webページを作っていた現場にいたことがあるんですけど、デザイナーがNetscapeのボタンデザインが気に入らないっていうんですよ。まだ当時は紙のデザイナーがWebを作っていて、慣れていなくてロゴを600dpiで作ったりしてたんですが、スクロールバーの色が気持ち悪いから変えたいといってました。そこは慣れなのか、それとも気持ち悪いと感じることが次の新しいものを生むのか、どっちなんだろうという。
── 自分が使いやすいようにカスタマイズさえできればいいと思うんですけどね。人はみんな、自分が最初に慣れたものをひきずるじゃないですか。例えばMacを使っていた人がWindowsを使うと、タスクバーを画面の上部に持って行きたがる。だからカスタマイズできるようにしておけば、最低限とっつきやすくはなる。ただ、いまの電子書籍端末は、ページの左側をタッチした際にページが進むものもあれば戻るものもあったりと、カスタマイズ以前の問題かなという気もします。
座談会の続きは月曜日に公開予定です。
【山口真弘,eBook USER】
しかし、本職の漫画家がサービスの仕様策定に関わっている「Jコミ」や「漫画 on Web」はともかく、多くのビューワでは漫画を描く側、つまり漫画家の意見がほとんど反映されずにインタフェースなどの仕様が策定されつつある感が強い。タップやフリックといった操作に対する挙動はもちろん、端末の向きを変えたときの挙動、さらには一部のフォーマットで実装されつつある、画面サイズを変更した際にコマが分割表示されるリフロー機能などだ。一方でケータイコミックのように、おおよそ漫画の文法とはかけ離れた実装でありながら、定着しようとしている挙動も存在する。
こうした現状について、電子書籍の出版経験を持つ現役の漫画家3名に集まってもらい、思いのたけを語ってもらった。インタフェースに対する考えはもちろん、漫画界を取り巻く現状、さらには紙か電子書籍かという問題を超えた本の流通に対する提言まで、熱い意見が飛び交った。本稿ではこの座談会の様子を3回に分けてお届けする。
●座談会に参加いただいた方々
うめ・小沢高広
2人組漫画ユニット「うめ」の主に原作担当。妻は主に作画担当の妹尾朝子。代表作「東京トイボックス」「ちゃぶだいケンタ」。現在月刊コミックバーズにて「大東京トイボックス」、月刊コミック@バンチにて「南国トムソーヤ」を連載中。2010年2月、Kindle Storeで初の日本語漫画「青空ファインダーロック」を発売。若き日のApple創設者を描いた「スティーブズ」をパブーで公開したことでも話題となった。
URL:http://www.chabudai.com/
一色登希彦
東京離脱作業中の漫画家。代表作「日本沈没」「モーティヴ ー原動機ー」「ダービージョッキー」。現在『ジャンプSQ.19』にて「水使いのリンドウ」連載中。オンライン漫画サイト「漫画 on Web」で過去の著作を販売するほか、2011年5月からはeBook Japanにて「ダービージョッキー」全22巻を販売。
URL :http://toki55.blog10.fc2.com/
藤井あや
ボーイズラブ系漫画家。代表作「桃色男子」「男巫女」。現在「コミックJUNE」「Boy'sLOVE」にて「桃色男子~檸檬編~」「男巫女」連載中。2010年2月、Kindle Storeで桃色男子の英語版「Peach BoyMOMO&MIKAN」を発売。「日本Kindleの会」の管理人も務める。
URL:http://ayafujii.jp/
司会進行:山口真弘
テクニカルライター。PC周辺機器を中心としたハードウェアレビューが専門だが、最近では電子書籍に関連した漫画家や事業者へのインタビューも多い。「徹底討論 竹熊健太郎×赤松健 電子出版時代における漫画編集者のあるべき姿」「『沖縄発の本』を電子書籍で全国へ──沖縄eBooksの挑戦」など。
●「電子書籍を本気で意識するなら、見開きを全廃する覚悟が必要」(一色)
── 今日は電子書籍における漫画インタフェースというテーマなのですが、まずは電子書籍によって漫画そのものの描き方が変わるのかどうかを伺っていきたいと思います。まず小沢さん、小沢さんはKindleでの出版やパブーでの著書販売など、電子書籍に対してさまざまに取り組まれていますが、どう思いますか?
小沢 描き方について言えば、最近は、文字の級数は20Qを使うようにして、18Qの比率を減らしつつあります。iPadでは、見開きの場合20Qくらいのサイズでないと読めないからです。ただ、最近ストーリーが混みいってきてセリフが長くなってきたので、やっぱり18Qにして、技術の進歩に任せようかなと思っていますけど(笑)。
実は今、Photoshopからコミスタ(注:ComicStudio)に移行しつつあるんですが、コミスタはトーンを最初から網点で貼れるんですよ。でも網点にした場合のモアレの出方はビューワによって異なるので、意図的にグレーのデータをマスターとして保存しています。グレーで保存しておけば、後から網点にすることは簡単なので。
電子書籍によって漫画の表現そのものが変わるのかどうかについては、例えば見開きを減らそうとか、そうした意識はありませんね。
── 次に一色さんに伺いたいのですが、一色さんは「日本沈没」などの作品を拝見する限り、見開きの表現を多用されるケースが多いと思いますが、現時点での電子書籍は見開き表示をあまり得意としていませんよね。ネームを切ったり完成原稿を描く際に、こうしたことを意識されることはありますか。
一色 ないですね。いまのところ紙の雑誌に載せることを前提に、紙の雑誌のルックベースで考えてしまいます。電子書籍を本気で意識するなら、見開きを全廃する覚悟が必要でしょうし。
── 一色さんは佐藤秀峰さんが立ち上げられた「漫画 on Web」に出展しておられますけど、漫画 on Webは基本的に見開き表示ですよね。
一色 見開きのみでしたが、今はiPhoneやiPadでも見られるようになっていて、それらは縦持ちしたときは片ページずつ表示できます。
── なるほど。続いて藤井さんですが、藤井さんはボーイズラブ(BL)というジャンルからして、ケータイコミックで出版される割合も多いですよね。
藤井 ええ。BLについて言えば、最近はどこの版元さんも、ケータイで出すことを前提に紙の本を出しています。
小沢 ケータイコミックだと画面上はコマ単位で表示されますが、原稿自体は普通に描くんですよね?
藤井 そうです。作家さんとしては紙で出してほしい方がほとんどなので、コミックの発売と同時にガラケーの方でも出すと。女の子はみんな携帯を持ってて常に見てるから、宣伝にもなるんですよね。ガラケーで配信が始まればmixiに広告バナーが載って、そこから紙の本にも興味を持ってもらったり。
── 電子書籍が紙の本の販促にもなっているという。
藤井 出版社はそう考えている節がありますね。
●「編集というのは特殊技能ではなく立場で、もともと人にある能力」(小沢)
── 小沢さんや一色さんは、ケータイコミック向けには作品を出されていましたっけ?
小沢 ケータイコミックはないですね。
一色 出版社の方で出していたと思うんですが、それを見られるガラケーを持ったことがないので、自分では見たことがありません。
小沢 ケータイで読んでると(バイブ機能で)揺れたり、スクロールしたりするじゃないですか。ここはこの動きじゃないのに! というのはあります? 紙の漫画だと、ここはこの書体じゃないよ! いうのがまれにあるじゃないですか。
藤井 作家さんによるんですよ。わたしは編集さんに渡した原稿は、編集さんに好きにいじってほしいタイプです。わたしがいじるとこだわりの部分で我欲が出ちゃうから(笑)。オリジナリティを出したい作家さんもいらっしゃるから、そういう人たちはたぶん指定していると思いますよ。
── ケータイコミックにせよ電子書籍にせよ、コマを分割したりバイブ機能をつけたりするのに作家さんの意向が働いているのか、それとも基本お任せでやってしまっているのかは読者から分かりにくいですよね。
藤井 そうですね。わたしは編集さんに投げたものは好きにしていいよという代わりに、ネームチェックはほとんどないんです。依頼されたものを描いて渡して終了。でも「バクマン」を読んだ人は、編集さんと二人三脚で、夜まで膝をつきあわせて作っていると思うだろうし。
小沢 でもああいう、編集さんと二人三脚で進める作り方は、昔に比べると減った気がしません?
藤井 うめさんのとこはどうやってるの? 奥さんと二人三脚で作ってるの?(笑)
小沢 ええっ(動揺しつつ)
一色 小沢さんは編集さんとの打ち合わせはするんですか?
小沢 「トイボ(注:大東京トイボックス)」は、ネーム前の打ち合わせはありません。「トムソーヤ(南国トムソーヤ)」は、だいたい今週こんなネタね、というのを1時間ほど軽くやるけど、それで終わり。
藤井 わたしもお任せといっても、この人はこうなるみたいな、着地点ぐらいはもちろん話しますよ。
小沢 トイボはそれすら話してないですね。先は誰も分からないのに描き続けてるという(笑)。最終地点は考えてるけど、過程は毎回リアルタイムで考えているという。
── 一色さんはいかがですか。
一色 僕は編集さんがいないとだめですね。編集さんとがっぷり打ち合わせをしないと。
藤井 人によりますよね。そこが編集さんの手腕というか。せっつくとダメな作家もいれば、せっつかないと描けない作家もいるし。
一色 小沢さんは、編集者とがっぷり打ち合わせをして詰めていくみたいな完成度の上げ方のやりとりを、奥さんとの間で通常やってるわけですか?
小沢 そうですね。編集者相手にやるよりもがっぷりやってます。
一色 それがあればいいんですよね。逆にそれがなくて、うめさんや奥さんが単独でやっていたら、やっぱり編集者とがっぷり打ち合わせをして完成度を上げていくことになるんじゃないかなと思いますね。
小沢 編集って、特殊技能というよりも立場、あるいはもともと人に備わっている能力じゃないかと思うんですよ。もちろんプロはプロで、その能力が高い人なわけですけど。
── 小沢さんの場合は、奥さんの妹尾さんとの間でその立場の分担がうまくできているということなんですよね。
小沢 そうですね。僕は妹尾に、「編集者スキルを上げて」というのを昔よく言っていたことがあって。向こうのアウトプットに対しては見れるので、後は自分が出したアウトプットに対して向こうが見て編集的にチェックしてもらうと、完成度が上げられるんですね。
── 一色さんは原作付きの作品が多いと思うのですが、その辺りの影響はありますか。
一色 原作を無視して作ってますからね(笑)。『ダービージョッキー』を描いていたころはどのレースはどんな展開かというプロットはもらうんですけど、その中でじゃあどんなドラマがあるとか、1話1話どんなドラマを作っていくかというのは自分と編集さんで。
小沢 じゃあ競馬新聞を原作に描けそうですね(笑)。
一色 いけますね。『日本沈没』も、(原作者の)小松左京さんから自由にやってくださいといわれて、映画のシーンも取り入れて再構成したりと好き勝手にやっていたので。原作付きとはいえ、通常の漫画家と編集者とのやりとりに帰結できたので楽でしたね。
小沢 この前「パブー×青空文庫 漫画コンテスト」という、青空文庫の小説をベースにしたコミカライズで、太宰(治)原作の作品を描いたんですけど、完成している作品と、生で毎回もらう原作ってぜんぜん違いますね。
一色 あ、それはそうかもしれないですね。
小沢 パブーが、その漫画コンテストの受賞作と、プロに頼んだ幾つかの作品をアンソロ本みたいな形で一冊の電子書籍にするそうですけど、それは本を作るという編集作業なんですよね。パブーがそこをどう思っているのかは分かりませんけど、ITの世界で言うところの企画という職種は、出版の世界でいう編集という職種と似ているなと感じます。
●「最初からこういうものだと思って触ってしまえば、違和感はない」(一色)
── 電子書籍では、紙の本と違って苦手な操作や表示方法がありますよね。見開き表示もそうですし、紙のようにページをぱらぱらめくるような動きだったり。そうした点が気になることはありますか?
小沢 ページめくりには違和感がありますね。指3本でフリックしたり、端末を傾けたらパラパラめくれたりとか、UIを考えたりはするんですけど。
紙の本は残り何ページというのが厚みで分かるじゃないですか。だから読んでいて後半になると、自分で気持ちを盛り上げながら読むことができるけど、電子書籍では数字でしか見えないのでけっこう辛い。特に漫画って、盛り上げてもらっているふりをして自分で気持ちを盛り上げているところがありますよね。残り50ページしかないのに犯人がまだ分からない! みたいな。
藤井 分かる分かる。後これだけしかページ数ないじゃん、どうするの? っていう(笑)
小沢 iBooksのインタフェースが最低なのは、両脇にページの厚みがあって、それが何回めくっても変わらないという。これジョブズに隠れて作ったんじゃないかというデザインですよね(笑)。改良されてだんだんよくなってきているという話は聞くんですけど。
── ページをめくる時のペラッていうエフェクトはどうですか?
小沢 最初は嫌いだったんですけど、慣れてくると僕はいいなと思って。
一色 全部紙の記憶のエミュレーションですよね。最初からこういうものだと思ってネイティブで触ってしまえば、違和感はないかもしれない。
藤井 わたしたちは紙世代からのスライド組だからそう考えるけど、デジタルネイティブではじめからこう読んじゃってる子にとっては当たり前ですからね。
小沢 そうそう。うちの娘はテレビの画面をタッチインタフェースだと思って普通に触りますからね。
藤井 うちもそうですよ。
小沢 どこかのテレビ番組でやっていたんですが、本のデザインってすごいよねと。もともと巻物だったのを切って糸で束ねたら読みやすくね? と考えて、やってみたら本になっちゃったよという。ペラペラめくれて、まとまった量の情報を読むのに適したデザインになっている。
一色 そうなんですよ。一冊の作りからしてそうだし、それが書架に並ぶことで単に数が並んだだけではないメタな編集がなされる。それがまた能力がある人によって編集されると面白い本屋さんになったりもする。電子書籍では、これができていませんよね。
●「既存の漫画の文法を使うのなら、横スクロールは向いていない」(小沢)
小沢 僕は、横にスクロールするタイプのビューワで漫画を見たときに、絵が横向きに流れることに少し違和感があります。めくって次のページがすぐに現れてほしい。巻物的に横にスクロールすると、消えていくページをずっと目で追ってしまうような不思議な感覚があって、漫画との食い合わせが悪い気がしたんです。いまの漫画自体、めくることを前提にみんなが試行錯誤してさまざまな表現が生まれてきたわけだから、スクロールならスクロール向きの漫画表現があるはずだと思うんですよね。
「7と嘘吐きオンライン」というWeb漫画では、1ページを4段か5段で横に切って、延々と上から下へ流れていくんですけど、それだと流れていっても気にならないんですよ。Webと同じように読めるという。だからそういう文法があって、一概にどちらがいい悪いではないけれど、既存の漫画の文法を使うのであれば、横にスクロールするタイプは向いていないように思います。i文庫HDでめくりで見た瞬間に落ち着きはいいという気はしましたけどね。
── i文庫HDはスライド/めくり/効果なしなどが設定できますよね。この、横にスクロールするのが気持ち悪いということですよね?
小沢 そうです。それをやるんだったら、1ページ表示でいい気がするんですよ。これも、縦に1ページにすると気持ち悪さが減るんですね。
一色 あー、分かる分かる。
小沢 2ページがまとめてスクロールすると、画面に真ん中の白帯があることで、1画面の中で2回上下に視線が動かなくちゃいけないんですね。それが気持ち悪さを生んでいるのかなと。
── ビューワによっては、画面を横向きにすると2ページの見開き表示になるかと思いきや、1ページの横幅を最大化して表示する仕様のものもあります。あれはどうですか。
小沢 うわー、これは何屋さんの発想だろう。絵が大きく見たいという意見を取り入れすぎちゃったんでしょうかね。
藤井 餅は餅屋といったところですかね。まったく漫画の構造を知らない人が作るとそうなるという。これ、次のページに移るときはどうするんですか?
── 延々と下にスクロールするか、ページの下部にボタンがあって次のページを読み込むか、どちらかですね。
小沢 これならWebブラウザでいいんじゃない?
── これは横書きのテキストであれば別に構わないと思うんですよね。文章を左から右に追っていって、次の行が下から現れてくるわけで、何の違和感もない。
一色 それは普通のWebの見方と同じですよね。漫画であれば、1ページの中でコマの大きさを演出しているわけだから、ページ単位で表示されてくれないと。
小沢 いずれにせよ、漫画を見ることを想定して、本職の方からヒアリングして要求仕様をまとめた節はありませんね。
藤井 漫画家だけじゃないですよね。デザイナーさんなんて、電子書籍端末の縁がつくことを考えてデザインしてるわけじゃないから、気になると思いますよ。単行本のときは縁もなくてまっさらな状態で表示されていたのが、電子書籍端末だとまた違った見え方をしてきちゃう。
小沢 ただ、それは慣れの可能性もありますよね。日本でそうとう初期に商用Webページを作っていた現場にいたことがあるんですけど、デザイナーがNetscapeのボタンデザインが気に入らないっていうんですよ。まだ当時は紙のデザイナーがWebを作っていて、慣れていなくてロゴを600dpiで作ったりしてたんですが、スクロールバーの色が気持ち悪いから変えたいといってました。そこは慣れなのか、それとも気持ち悪いと感じることが次の新しいものを生むのか、どっちなんだろうという。
── 自分が使いやすいようにカスタマイズさえできればいいと思うんですけどね。人はみんな、自分が最初に慣れたものをひきずるじゃないですか。例えばMacを使っていた人がWindowsを使うと、タスクバーを画面の上部に持って行きたがる。だからカスタマイズできるようにしておけば、最低限とっつきやすくはなる。ただ、いまの電子書籍端末は、ページの左側をタッチした際にページが進むものもあれば戻るものもあったりと、カスタマイズ以前の問題かなという気もします。
座談会の続きは月曜日に公開予定です。
【山口真弘,eBook USER】
PC周辺機器情報 ルータ製品は、WiMAX対応「AtermWM3500R」などポータブル型も人気
PC周辺機器販売ランキング(2011年5月16日~5月22日):
ブロードバンドルータ、キーボード、マウス製品の販売ランキングTOP10を掲載。【2011年5月第4週版】
【表:PC周辺機器販売ランキング、他の画像】
●ブロードバンドルータ:バッファロー「WHR-G301N」が首位
ブロードバンドルータの販売ランキングは、新モデルこそいくつかリリースされているが大きな動きが見られない。
首位はIEEE802.11n対応のベーシックモデル「AirStation WHR-G301N」が獲得。今回で連続首位記録を「19」まで伸ばした。このほか、2位~3位、6位、8位にバッファロー製の据え置き型無線LANルータがランクインしている。
ランキングの9割が家庭向けの据え置き型無線LANルータ製品が入るが、5位の「AtermWM3500R」のみポータブル型のWiMAX通信対応モデルがランクインしている。AtermWM3500Rは下り最大40MbpsのWiMAX通信に対応し、WIMAX回線を無線LANで共有利用できるポータブルルータ機器だ。単体販売のほか、家電量販店ではWiMAXサービスの同時契約で数千円台のお得な価格で端末を購入できる購入方法も存在する。
●キーボード:首位は「TK-FCM007」、売れ筋の傾向に変化なし
キーボード、テンキー製品の販売状況は、これまでと変わらずUSB接続タイプのベーシックモデルが売れ筋だ。
首位はUSB有線接続タイプのベーシックキーボード「TK-FCM007」が獲得。連続首位記録を「10」まで伸ばしている。
このほか、USB接続のベーシックキーボードは2位、5位、8位、9位にランクイン。こちらはどれでもいいのでPC用のキーボードを望む層に加え、1000円前後で購入できる手軽さからゲーム機用として導入するシーンもあるという。
●マウス:エレコム「M-Y4UR」が首位 このほかエレコム製品は5モデルランクイン
マウス製品の売れ筋は、1000円前後で購入できるUSBベーシックモデルとなっている。
首位はエレコム「M-Y4UR」が獲得。続いて2位に同じくエレコム「M-Y5UR」、3位、4位にバッファローコクヨサプライ「BSMOU05M」と「BSMOU05S」が入った。
一方、下位には「M-D20DR」や「M-PGDL」(エレコム)、マイクロソフトの「Wireless Mobile Mouse 3000」など、実売2000円前後より購入できるベーシック志向のワイヤレスタイプも長期人気を維持している。
ブロードバンドルータ、キーボード、マウス製品の販売ランキングTOP10を掲載。【2011年5月第4週版】
【表:PC周辺機器販売ランキング、他の画像】
●ブロードバンドルータ:バッファロー「WHR-G301N」が首位
ブロードバンドルータの販売ランキングは、新モデルこそいくつかリリースされているが大きな動きが見られない。
首位はIEEE802.11n対応のベーシックモデル「AirStation WHR-G301N」が獲得。今回で連続首位記録を「19」まで伸ばした。このほか、2位~3位、6位、8位にバッファロー製の据え置き型無線LANルータがランクインしている。
ランキングの9割が家庭向けの据え置き型無線LANルータ製品が入るが、5位の「AtermWM3500R」のみポータブル型のWiMAX通信対応モデルがランクインしている。AtermWM3500Rは下り最大40MbpsのWiMAX通信に対応し、WIMAX回線を無線LANで共有利用できるポータブルルータ機器だ。単体販売のほか、家電量販店ではWiMAXサービスの同時契約で数千円台のお得な価格で端末を購入できる購入方法も存在する。
●キーボード:首位は「TK-FCM007」、売れ筋の傾向に変化なし
キーボード、テンキー製品の販売状況は、これまでと変わらずUSB接続タイプのベーシックモデルが売れ筋だ。
首位はUSB有線接続タイプのベーシックキーボード「TK-FCM007」が獲得。連続首位記録を「10」まで伸ばしている。
このほか、USB接続のベーシックキーボードは2位、5位、8位、9位にランクイン。こちらはどれでもいいのでPC用のキーボードを望む層に加え、1000円前後で購入できる手軽さからゲーム機用として導入するシーンもあるという。
●マウス:エレコム「M-Y4UR」が首位 このほかエレコム製品は5モデルランクイン
マウス製品の売れ筋は、1000円前後で購入できるUSBベーシックモデルとなっている。
首位はエレコム「M-Y4UR」が獲得。続いて2位に同じくエレコム「M-Y5UR」、3位、4位にバッファローコクヨサプライ「BSMOU05M」と「BSMOU05S」が入った。
一方、下位には「M-D20DR」や「M-PGDL」(エレコム)、マイクロソフトの「Wireless Mobile Mouse 3000」など、実売2000円前後より購入できるベーシック志向のワイヤレスタイプも長期人気を維持している。
PC周辺機器情報 “くらげイヤフォン”や“しっぽマウス”――エレコムが「NENDO」モデルを発表
エレコムは5月11日、デザインオフィス「NENDO」とコラボレーションしたデジタル周辺機器を発表した。マウスやUSBメモリなど9製品が2011年5月下旬より順次出荷される。
【拡大画像や他の画像】
同日の製品発表会に登壇したエレコム取締役社長の葉田順治氏は、1986年の会社設立当初からこれまでを振り返り、フロッグデザインのエスリンガー氏が手がけたルナリスシリーズなどに触れて、「これまでずっとPC周辺機器の分野でデザインと格闘してきた。失敗も多かったが、“ジャパンクール”をコンセプトにやろうと模索してきた中で、今回佐藤さん(NENDO代表)と出会い、NENDOとコラボすることができた。日本人の感性をベースにしたデザインで、世界に向けて勝負をしていきたい」とあいさつした。
続いて登壇したエレコム新規ビジネス開発室の福良卓二氏は、「これまでのデジタルガジェットは、製品の機能性をどうやって伝えるかがデザインの基本になっていたが、PCが一家に一台あるのが当たり前になり、シャープで“カッコイイ”デザインよりも、いかに自然に溶け込むか、機能ではなく形からくるデザインが重視されてきている」と指摘。PC周辺機器のコモディティ化とともに、ユーザーのデザインに対する意識も変化しており、「価格でも、スペックでもなく、デザインの魅力を伝える製品を投入していくことが重要だ」と述べ、コラボレーションの背景を説明した。
●クラゲ、しっぽ、こぼれ落ちる水――デザインの魅力にこだわった9モデル
一方、5月下旬から順次発売する各製品の紹介は、NENDO代表の佐藤オオキ氏が担当した。同氏が考える“デザイン”とは「一撃で何かを劇的に変えてしまうのではなく、ちょっとした気づきや、些細な感覚の集積によって、少しずつ良い方向へ変えていくもの」なのだという。このためNENDOは、建築から家具やインテリア、コンシューマープロダクトなど、「柔軟な発想で粘土をこねるように」(同氏)さまざまな分野でデザインを手がけている。エレコムとのコラボレーションもその一環だ。各製品を写真とともに見ていこう。
まずはじめに紹介されたのは「OTOKURAGE」と名付けられたイヤフォン。一見するとシンプルなカナル型イヤフォンだが、イヤーピース部分が先端部だけでなく全体を覆い、その名の通り「クラゲ」を連想させるデザインとなっている。また、水中を漂うクラゲをイメージを踏襲して、パッケージがペットボトルの形をしているのもユニークだ。
マウスは4製品が披露された。1つはUSB接続の光学式マウス「RINKAKU」。有線式マウスではじゃまな存在として認識されがちなケーブルを、あえてデザインの中心に置き、マウス本体はケーブルの延長として扱っている。伸びたUSBケーブルがマウスの輪郭を形作るイメージだ。マウスのエッジやホイールの太さは、ケーブルと同じ約2.5ミリになっており、異なる素材でもきちんと色を合わせてあるなど、シンプルながら随所にこだわりが見られる。
2つめは「OPPOPET」と呼ばれるワイヤレスモバイルマウスで、マウス本体後方に格納されているUSBレシーバーが、さまざまな動物のしっぽをモチーフにデザインされているのが特徴だ。レシーバー(しっぽ)をPCに装着すると、小さな動物がPC内部にもぐりこんでいるように見える。「(マウスを携帯するときに)ペットを連れて歩くときのような親しみやすさ」がコンセプトだという。
3つめは多機能マウスの「KASANE」。このモデルは、各機能を構成するパーツが上から降ってきて重なり合ってできたイメージだ。そして、マウス本体にユーザーが手をのせることでデザインが完結するというストーリー性もあわせもつ。そして最後は「ORIME」で、ポリゴンのような外観が特徴。マウスのデザインは曲線や曲面を多用した有機的なものが多いが、ORIMEではあえて直線で構成し、紙を折って作ったようなデザインになっている。
USBメモリや、スマートフォン/タブレット向けのスタンドでも、ユニークな製品が披露された。USBメモリは「DATA CLIP」と「DATA HOOK」の2種類で、DATA CLIPはゼムクリップのように書類や名刺を挟んで利用できる。一方のDATA HOOKは、カラビナのような形をしており、こちらも何かに留めて気軽に持ち歩けるのが特徴だ。佐藤氏は「カタチのないデジタルデータと形のあるものをどう融合するか、形のないデータをどう身につけるのかをコンセプトにデザインした」と語っている。
スマートフォン向けアクセサリでは、「MEGANE」と「JAGUCHI」がラインアップされている。ともに製品名通りのデザインで、MEGANEはツルの部分がスタンドになり、レンズの部分に端末を吸着させる仕組み。JAGUCHIは流れ出た水の波紋が溝になって、製品を立てかけられる。この種の製品は、実際に使用しているときはほとんど見えないため、端末を立てかけていないときの見え方にこだわった遊び心のあるデザインにしたという。
なお、このほかにもすでにさまざまな製品を平行してデザインしているとのことで、今後も順次NENDOデザインの製品がリリースされる予定だ。
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同日の製品発表会に登壇したエレコム取締役社長の葉田順治氏は、1986年の会社設立当初からこれまでを振り返り、フロッグデザインのエスリンガー氏が手がけたルナリスシリーズなどに触れて、「これまでずっとPC周辺機器の分野でデザインと格闘してきた。失敗も多かったが、“ジャパンクール”をコンセプトにやろうと模索してきた中で、今回佐藤さん(NENDO代表)と出会い、NENDOとコラボすることができた。日本人の感性をベースにしたデザインで、世界に向けて勝負をしていきたい」とあいさつした。
続いて登壇したエレコム新規ビジネス開発室の福良卓二氏は、「これまでのデジタルガジェットは、製品の機能性をどうやって伝えるかがデザインの基本になっていたが、PCが一家に一台あるのが当たり前になり、シャープで“カッコイイ”デザインよりも、いかに自然に溶け込むか、機能ではなく形からくるデザインが重視されてきている」と指摘。PC周辺機器のコモディティ化とともに、ユーザーのデザインに対する意識も変化しており、「価格でも、スペックでもなく、デザインの魅力を伝える製品を投入していくことが重要だ」と述べ、コラボレーションの背景を説明した。
●クラゲ、しっぽ、こぼれ落ちる水――デザインの魅力にこだわった9モデル
一方、5月下旬から順次発売する各製品の紹介は、NENDO代表の佐藤オオキ氏が担当した。同氏が考える“デザイン”とは「一撃で何かを劇的に変えてしまうのではなく、ちょっとした気づきや、些細な感覚の集積によって、少しずつ良い方向へ変えていくもの」なのだという。このためNENDOは、建築から家具やインテリア、コンシューマープロダクトなど、「柔軟な発想で粘土をこねるように」(同氏)さまざまな分野でデザインを手がけている。エレコムとのコラボレーションもその一環だ。各製品を写真とともに見ていこう。
まずはじめに紹介されたのは「OTOKURAGE」と名付けられたイヤフォン。一見するとシンプルなカナル型イヤフォンだが、イヤーピース部分が先端部だけでなく全体を覆い、その名の通り「クラゲ」を連想させるデザインとなっている。また、水中を漂うクラゲをイメージを踏襲して、パッケージがペットボトルの形をしているのもユニークだ。
マウスは4製品が披露された。1つはUSB接続の光学式マウス「RINKAKU」。有線式マウスではじゃまな存在として認識されがちなケーブルを、あえてデザインの中心に置き、マウス本体はケーブルの延長として扱っている。伸びたUSBケーブルがマウスの輪郭を形作るイメージだ。マウスのエッジやホイールの太さは、ケーブルと同じ約2.5ミリになっており、異なる素材でもきちんと色を合わせてあるなど、シンプルながら随所にこだわりが見られる。
2つめは「OPPOPET」と呼ばれるワイヤレスモバイルマウスで、マウス本体後方に格納されているUSBレシーバーが、さまざまな動物のしっぽをモチーフにデザインされているのが特徴だ。レシーバー(しっぽ)をPCに装着すると、小さな動物がPC内部にもぐりこんでいるように見える。「(マウスを携帯するときに)ペットを連れて歩くときのような親しみやすさ」がコンセプトだという。
3つめは多機能マウスの「KASANE」。このモデルは、各機能を構成するパーツが上から降ってきて重なり合ってできたイメージだ。そして、マウス本体にユーザーが手をのせることでデザインが完結するというストーリー性もあわせもつ。そして最後は「ORIME」で、ポリゴンのような外観が特徴。マウスのデザインは曲線や曲面を多用した有機的なものが多いが、ORIMEではあえて直線で構成し、紙を折って作ったようなデザインになっている。
USBメモリや、スマートフォン/タブレット向けのスタンドでも、ユニークな製品が披露された。USBメモリは「DATA CLIP」と「DATA HOOK」の2種類で、DATA CLIPはゼムクリップのように書類や名刺を挟んで利用できる。一方のDATA HOOKは、カラビナのような形をしており、こちらも何かに留めて気軽に持ち歩けるのが特徴だ。佐藤氏は「カタチのないデジタルデータと形のあるものをどう融合するか、形のないデータをどう身につけるのかをコンセプトにデザインした」と語っている。
スマートフォン向けアクセサリでは、「MEGANE」と「JAGUCHI」がラインアップされている。ともに製品名通りのデザインで、MEGANEはツルの部分がスタンドになり、レンズの部分に端末を吸着させる仕組み。JAGUCHIは流れ出た水の波紋が溝になって、製品を立てかけられる。この種の製品は、実際に使用しているときはほとんど見えないため、端末を立てかけていないときの見え方にこだわった遊び心のあるデザインにしたという。
なお、このほかにもすでにさまざまな製品を平行してデザインしているとのことで、今後も順次NENDOデザインの製品がリリースされる予定だ。
【モバイル用おもしろグッズ】
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