働きバチの一生
約1ヶ月の寿命の中で働き蜂の仕事は
日齢が進むにつれて移り変わります。
前半の2〜3週間は内勤、
後半の1〜2週間は外勤で、
後半の時期に蜜の採集や花粉媒介をします。
ミツバチは昆虫ですから、
卵から孵って、幼虫、サナギを経て、羽化して成虫になります。
ミツバチが巣の中で幼虫からさなぎを経て
成虫になるまでの期間は、働きバチで約21日間。
女王バチで約16日間かかるのですが、
女王バチは成虫になった後に、交尾ができるまで
さらに約7日間を要します。
成虫になるとすぐに働きはじめますが、
成長するにつれて仕事の役割も変わります。
ミツバチの分業
働き蜂は群が必要とするほとんどの仕事をしますが,
この仕事の種類は、日数を追って変化していきます。
まず、内勤と外勤とに分かれていますが、
内勤の間は、
育児(ミルク分泌)
造巣(蜂ろう分泌)
貯蜜(酵素分泌)
というように身体変化によって変わります。
また外勤蜂の外での事故のリスクを考えると
働き蜂の一生の後半が外勤となることで
働き蜂が減りにくいということになります。
また内勤のうちは
24時間体制で仕事をしますが、何交替かあるようで
1匹あたりの労働時間は、6-8時間程度
という観察結果があります。
外勤蜂は、日中は花に通い,
夜間は巣の中でじっとしていることが多いようです。
ミツバチの日齢分業の流れ
掃除:羽化後〜5日
巣房の掃除をします。
あとは休んでいるか,仕事を探しているか
もっと日齢が進んでも掃除はよくする仕事の一つです。
育児:3〜12日
花粉を食べて
ミルクの分泌ができるようになると,幼虫の世話をします。
女王蜂に餌のローヤルゼリーを与えるのもこのころです。
巣作り:8〜16日
蜂ろうの分泌が盛んになり巣を作ります。
また蛹になる直前の幼虫の巣房に蓋をします。
貯蜜係:12〜18日
外勤蜂が集めてきたハチミツを受け取って,
巣房に貯えます。
門番:16〜24日
他の巣から蜜を盗みに来た蜂
外敵を巣門で見張っていて迎撃します。
外勤蜂:20日〜
蜜や花粉を集めに花に通います。
また巣を冷やすための水を集めてくるものもいます 。
外勤を2週間ほどして寿命が来ます。
女王蜂の一生
女王蜂は、ミツバチの大集団の中で
母親であり中心的な存在です。
他の蜂と比べて、体型はもちろん、
生殖機能を備えていたり
一生の過ごし方も違うなどの特徴があります。
ミツバチの女王蜂は、
働き蜂に比べて体型が大きく、
色が違うなどの特徴があります。
女王蜂は、黒っぽく大きい身体をしています。
すぐに働き蜂と女王蜂を
見分けることができるでしょう。
女王蜂は、
大きいもので体長が17mmになります。
体型が大きい働き蜂でも、
13mm程度までしか成長しないため、
それと比較すると女王蜂は大きいです。
体の模様も違っており、
働き蜂は、黄色と黒の縞模様が
特徴的なのに対して、
女王蜂は、
全体的に黒っぽい色をしています。
セイヨウミツバチの女王蜂は、
ニホンミツバチよりも
さらに体格が良く、
大きいもので20mmになる個体も存在しています。
女王蜂は特別な蜂なので、その一生の過ごし方も
他の蜂とは全く違っています。
王台について
王台は、女王蜂の候補が育てられるスペースのことです。
このスペースは、他の働き蜂の幼虫が
育つ部屋よりも大きく作られているため、
王台はまさしく女王蜂に用意された専用の部屋です。
女王蜂候補の卵は、王台に産み落とされます。
この部屋で、餌を与えられながら成長していくのです。
成長にかかる日数
女王蜂は他の働き蜂と違って、
成長する日数は短いのが特徴です。
卵から孵化するまでの期間は、オスもメスも問わず、
3日程度かかります。
その次に幼虫から蛹の状態へ移行していくのですが、
この間の成長は
働き蜂が6日程度かかるのに対し、
女王蜂は5日程度と少し短いです。
蛹から成虫へ成長する際も、
働き蜂が12日かかるのに対して、
女王蜂は7日ほどしかかかりません。
かなり早いスピードで成長するのが、
ニホンミツバチの
女王蜂の特徴の1つです。
女王蜂が食べる餌
女王蜂に成長する幼虫が食べる餌は、
一般的にも広く知られているローヤルゼリーです。
ローヤルゼリーには、とても豊富な栄養とともに、
幼若ホルモンと呼ばれる成分が含まれています。
幼若ホルモンの効果は、それを摂取した蜂の
成長を促進させることです。
幼若ホルモンによって、女王蜂は成長が促進され、
成虫になるまでの時間も早くなります。
産む卵の数と蜂の種類の比率
繁殖期になると、女王蜂は毎日1,000個以上、
多いときで2,000個以上の卵を産みます。
これだけの出産能力があるため、
繁殖期のピークの時点では、
巣の中の蜂の数がおよそ2万匹、
環境が特に良い場合は、
なんと6万匹になることもあるようです。
1匹の女王蜂から生まれてくる卵の内、
新女王蜂にとして育てられる卵は、
環境にもよりますが1年で
100個に満たないほどしかありません。
オス蜂の割合は
巣の蜂の10%程度であるため、2万匹の群に対して
2,000〜3,000匹程度しか存在していません。
働き蜂の数が産卵される卵の中で一番多くを占めており、
女王蜂やオス蜂の割合は、かなり少ないのも
特筆するべき点でしょう。
女王蜂の越冬
冬になると女王蜂は、産卵や育児をストップします。
厳しい冬を乗り越えるために、不要なエネルギー消費を
抑える必要があるからです。
働き蜂も冬は外に出ず、巣の中でまとまり、
おしくらまんじゅうのようになって
暖を取ります。
女王蜂も、この働き蜂が作る暖かい環境に守られ、
冬を越すことができるのです。
分蜂について
無事に冬を越して春になり、
その巣で新しい女王蜂が誕生すると、
ニホンミツバチの旧女王蜂は
その群の半分程の働き蜂を連れて巣から出て行きます。
これが分蜂(ぶんぽう)と呼ばれる現象です。
外に出て行った旧女王蜂の群は、新たに巣を作り、
そこで活動を再開します。
ミツバチの世界では、1つの巣に女王蜂は1匹
というルールがあるため、基本的に旧女王蜂と新女王蜂は
共存することができません。
それゆえに、分蜂という現象が起こります。
ニホンミツバチの分蜂の時期は、地域によって変わりますが、
関東から中国地方にかけての地域は、主に4月上旬が
分蜂の起こりやすいタイミングです。
女王蜂の寿命
ニホンミツバチの女王蜂の寿命は、その個体にもよりますが
2年から3年と言われています。
働き蜂の寿命が、約30日〜140日であることに比べると、
かなり長生きだと言えるでしょう。
寿命が近くなった女王蜂は、
産卵数が減るなどの変化が見られます。
働き蜂はそれを察知し、次の女王蜂を育てるための
王台(交換王台)を作り始めるため、
この王台作りが見られ始めると
女王蜂の寿命が近い可能性が高いです。
興味深いミツバチの一生です。
これからもミツバチを見守っていきます。