§1.3 ガロア拡大

本節では、ガロア拡大とガロア拡大体の定義について述べ、それらに関する2つの定理を紹介する。

 

 (定義1 ガロア拡大)

 代数的拡大S→Lについて、Lのすべての元のS上共約解がLに含まれているとき、S→Lをガロア拡大とよぶことにする。

 

 (定義2 ガロア拡大体) 

 代数的拡大体Lについて、Q→Lがガロア拡大であるとき、Lをガロア拡大体とよぶことにする。

 

 ガロア拡大とガロア拡大体で定義を分けたのは、以下のような事情による。

 一般に代数的拡大列S→M→LについてS→M、M→Lがガロア拡大であっても、Q→Lがガロア拡大であるとは限らない(※9)。上記の定義に従えば、ガロア拡大を重ねて構成した体がガロア拡大体であるとは限らないことになる。Lのすべての元のQ上共役解がLに含まれているときのみ、Lをガロア拡大体とよぶことにした。

 

 これらの定義のもと、以下の2つの定理が成り立つ。

 

(定理7)

Q→M→Lを代数的拡大列とし、Lをガロア拡大体とする。このとき、M→Lもガロア拡大である。

 

(定理8 ガロア拡大体の十分条件)

代数的拡大体Lの原始元をθとする。θの全Q上共役解がLに含まれているとき、Lはガロア拡大体である。

 

 定理7、定理8の証明にもアーベルの既約定理(定理1、定理1’)が用いられる。

 加えて定理8の証明には、次の定理が必要となる。

 

(定理9 対称式の基本定理)

 任意の対称式は、基本対称式化可能である。

 ただし基本対称式化とは、変数の対称式について式中に含まれる文字をn変数の基本対称式にまとめる変形をさしている。

 

 対称式、基本対称式については(※10)で述べている。