いーちゃん1年生の2学期1日目。
初日から宿題が出るのか―。
そう思いながら、さっきいーちゃんが終わらせていた
国語のプリントを眺める。
小学校入学以来、問題をちゃんと読まずに適当に答えたり、
そもそも問題を見落とすほどに、「読む」どころか
ちゃんと「見て」すらいない節のあるいーちゃん。
そんな彼には常々、
「国語は答えが全部書いてあるんだよ。
だから、よく読んだら絶対答えがわかるよ。」
と言い聞かせていたので、
ちゃんと読んで答えられているのかな…?
という気持ちで問題と答えを追っていく。
―まぁまぁ、ちゃんと文章を読んで答えを書いていそうだな…。
そう思いながら最後の方の問題に目をやると、あれれ?
「おひさま」が正答だと思われる問題に、
「ひとです」
と書かれているではないか。
ご丁寧に「です」までつけて。
いーちゃんをつかまえて、
ちゃんと問題を読んで答えたのか尋ねると、
「うん、ちゃんとみたよ!」
「うん、ちゃんとみたよ!」
と予想外に自信ありげな返事。
ではいったい、問題のどこに「ひと」なんて書いてあったのか?
困惑するおトーさんを尻目に、
胸を張って、「ここだよ!」と指をさす彼。
よく見ると、挿絵に、丘に座って空を見ている「ひと」らしきものが。
ほんとだ!
そして、問題文の「だれが、みていますか」という曖昧さも相まって、
「たしかに、人が見てるね!」と納得してしまったおトーさん。
そういえば、いーちゃんは問題を
「ちゃんと見た」とは言っていたが、
「読んだ」とは言っていなかったな…。
見事に一本取られたおトーさんであった。