俳句は季節のインデックスです。
*――゚+.――゚+.――゚+.――゚+.――*――゚+
川風に身をまかせゆく浴衣かな
*――゚+.――゚+.――゚+.――゚+.――*――゚+
※絵:山口珠瑛
*――゚+.――゚+.――゚+.――゚+.――*――゚+
【俳句の季語】浴衣(ゆかた)
昔入浴の際に用いた主として木綿の単衣、すなわち湯帷子(ゆかたびら)の略であるが、
今は浴衣がけで外出もするようになった。
湯上がりにのりの利いた浴衣のそぞろ歩きも良い。
(ホトトギス新歳時記)
*――゚+.――゚+.――゚+.――゚+.――*――゚+
【俳句の風景】
夏の夕方、花火を見るときやお祭りなど浴衣を着ることがあります。
浴衣を着るのはちょっとした夏のお出かけな感覚になるので
浴衣で出掛ける機会を探したりしてしまいます。
この俳句は、六甲山の麓の川の近くで浴衣会があった時のものです。
川のほとりを浴衣姿で歩いているのを見ていると
川風に浴衣の袖や裾がひるがえり
見ていても涼しげな感じがします。
実際に、自分が浴衣を着て川風に吹かれていると
浴衣の袖がまるでヨットの帆みたいに風を受けて
風の力で押し出され歩きだしてしまうような感じさえします。
そのうち、自分と川風がまるで一体になったような
自由でいて前に進むような不思議な感覚になっていきました。
洋服の時には、今まで自分と川風が一体になるような感じを
受けたことはありませんでしたので、ちょっとびっくりしながら
川風に身を任せていく愉しさを味わっていました。
自然の風と一体になった感覚は、心が自由になる感じがします。
自然と共に暮らして来た日本人の感覚が
ちょっと垣間見えたような嬉しさを覚えた俳句です。