両面(2層)板の不具合に要注意 | 続 サルでもわかるプリント基板のはなし~きばんやおやじのブログ

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プリント基板の基礎から、実装技術を駆使した品質管理のノウハウ、コストダウンの方策まで、電子機器のものづくりのノウハウの虎の巻です

以前、某「上場企業」から品質問題に関する問い合わせを拝領した。
その他にも某電力会社の系列企業
パワー系機器を製造する企業
その他、企業を挙げれば枚挙にいとまがない。

当然、コンサルティングの前提で業務委託を引き受ける。
ただ、冒頭の企業をはじめ、
費用ゼロで相談を持ちかける企業も少なくない。
冒頭の企業は、
ご丁寧に不具合内容の詳細を送りつけてきたので
当然、業務として対応したが、
相手の担当者は、
当社を下請け程度と認識しての態度であった。

愚痴をこぼすための投稿ではない。
不具合を起こした装置は、
ある装置の電源として製造された両面(2層)板だ。

日本国内であれば、どこでも製造することが可能な
ごく一般的な仕様であったが、
海外企業で発生した不具合であることは容易に想像できた。
不具合の発生原因を特定することは困難なことではない。
不具合内容の説明は、10分もあれば可能だ。
しかし、この知識・能力は一朝一夕で手に入れたものではない。
説明は簡単であるが、
それは私が30年がかりで手に入れた能力だ。
この能力で生計を立てている。
これを何の苦労もなく入手できると考えて欲しくない。
一部はこのブログを含めてネット上に公開するが、
重要な部分では対価を求めることをご理解いただきたい。


フォイルクラック

レジンリセッション
バレルクラック
コーナークラック


20年程前であれば可能であった
不具合原因の特定能力は恐るべき速度で退化していると思う。
前出の不具合は、全て目視で判定することは不可能で、
解析作業が不可避となるが、
現状では、
不具合の潜在リスクを認識することができる人材は
どれほど存在するであろうか?
機器の不具合内容の原因はおろか、
特定することも容易ではなかろう。

個人的に危惧するのは、
製造は難しくないが、
高い信頼性を求められる分野では、
往々にして仕様の上で、高い製造技術を求められない
電圧や電流の値が高い回路を持つ電子機器類の品質だ。

このような製品には、
多層板ではなく、両面(2層)配線板が採用される場合が少なくないが、
製品の信頼性には留意していただくことを推奨する。