少女はぐったりしているおじいさんにすがりつきながら

ごめんなさい。
ごめんなさい。

そう何度も謝ります。

今更謝ったって。。
遅すぎるかもしれないのだけど。
どうにもならないかもしれないのだけど。

彼女はひたすら詫びつづけます。


その姿を見て、わたしは思いました。

出て行ったきり、戻ってこない父親。

一方いつもそばにいて、
いつも見守ってくれている、
まるで空気のように、失ってはじめて
その大切さに気づく存在であるおじいさん。


どっちが、お父さん?
どちらがより、
わたし達の望む父性像だろう?


。。。答えは明白じゃない?


いつもいたんだよ。
いつもいるんだよ。


おとうさんは、ずっとずっと
そばにいるじゃないか。


わたしは後悔に泣き崩れる
彼女に言いました。

ねえ気づいた?

おとうさんはいたんだ。
おとうさんはいたんだ。

ずっといたんだよ。


あなたの側に
ず―――っっと
いたんだよ。


少女は、わーんわーんと
声を上げて泣いていました。
いつのまにか、わたしも号泣していました。

今更気づいて遅いのかもしれないけど
おじいさんは今、報われたかもしれない。

彼女もお父さんを見つけて、
報われたかもしれない。

後悔と、悲しみと、

それから
嬉しいような

ああ、よかった。
おとうさんをやっと見つけた。。

そんな気持ちで、
彼女とわたしは泣いていました。

(つづく)