おとうさんは、胎盤。
わたし達のベッドだね。。
そうだね。
外敵に脅かされることもなく
ゆっくり安心して眠るための
ベッドなんだね。。
深く納得したわたしに、
またひとつ、ある出来事が起こりました。
★★★★★
ある出来事というのは
納得した直後のお風呂の中で
【備忘録ノート】父性の長期不在その3
http://ameblo.jp/payoco/entry-11519157692.html
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に記した、アルプスの少女ハイジ風に
ずっと帰ってこない父を待っている少女のイメージの
つづきが、とつぜん脳裏に映し出されたのです。
少女は、相変わらず父を待っていました。
それは一見、前回と変わらない光景なのですが。。
わたしは気づきました。
あれ?と違和感。
少女は気づいていないようでした。
なんだかすごく気になるわたし。
ねえ!いつも側にいるおじいさんは?
と、声をかけてみました。
わたしの姿は見えないかもしれなけれど
少女は一瞬、今なにか聞こえた?って顔をして
あたりを見回します。
それで、わたしと同じく
あれ?っと、違和感に気づいたようなのです。
そう、いつも少女の側を離れない、
執事のような出で立ちのあのおじいさんの姿が
さっきからずっと見当たらなかったのです。
彼女はちょっと探すように、草原を見回し、
ついで、家の周りを一周します。
誰もいません。
彼女はふと、眉をひそめて
家の中に入っていきました。
わたしもついていきます。
しーんとした室内。
リビングにも、キッチンにも
暖炉のそばにも、誰もいません。
テーブルの上の花が、枯れかかっています。
それを見たとたん
ある種の緊張が彼女に走るのを
わたしは感じました。
彼女は足早に、
自分のとはちがう、寝室へ向かいます。
そして勢いよく寝室の扉を開けると。。
暗い室内のすみっこに
あの、執事のようなおじいさんが
倒れているのを発見しました。
彼女もわたしも息を飲みました。
よくわからないけど、嫌な予感が
的中してしまった。。そんな感覚。
少女はおじいさんに駆け寄って
おじいさんを助け起こすようにしながら
大声で彼を呼びます。
すると、おじいさんがかすかに
まつげをぴくぴくさせました。
生きてる!
瞬間的に安堵するわたし達。
でも。。
おじいさんは、息があるけれど
とっても弱っていました。
自力では立てないほどに。。
少女が必死でおじいさんを引っ張り
なんとかベッドに押し込めます。
おじいさんは、執事の服のままでした。
いつから、ここに転がっていたのでしょう?
もしかしたら。。何日も何日も。。
きっと具合が悪くて倒れたのに
誰にも気づかれず、ケアされず。。
ほうっておかれたんだ。。
きっと具合が悪くて倒れたのに
誰にも気づかれず、ケアされず。。
ほうっておかれたんだ。。
そんな気がしました。
だって彼女は
いつもお父さんの帰りだけを待っていて
おじいさんには見向きもせず、
話しかけてられても
ろくに返事すらしませんでしたから。。
彼女を見ると
彼女の表情が、わたしと同じ事を
考えていると判りました。
みるみるうちに青ざめ、
はたで見て判るほど動揺した様子で
自分のこれまでの行動を
振り返っていたのです。
いつも何も言わずそっと寄り添ってくれるひとに対して
眼中にないといわんばかりの態度で
帰ってこない父だけをひたすら求めていた彼女。
今ここにあるものより
ないものの方が大事だった彼女。
本当に大事な(はず)のひとを
感情のない、石ころみたいに思っていた彼女。
ひどいね。。
あんたひとでなしだよ。。
わたしが心の中で吐き捨てたとき
ベッドに横たわるおじいさんに
とりすがるようにしている彼女の瞳から
涙がぽろぽろとあふれ出しました。
まるでわたしの非難が
耳に届いたように。
(つづく)