Gin Blossomsを聴いている。
90年代のアメリカン・ロック。
ギターは軽やかで、メロディーは親しみやすい。
青空や乾いた風まで浮かんでくるような、
いかにも爽やかな音楽だ。
爽やかなはずなのに、なぜか爽やかになりきらない。
振りきられない。
その理由のひとつが、声なんだと思う。
Jesse Valenzuelaの声。
鼻にかかったような少し乾いた声。
伸びやかで透明な「いい声」とは、少し違う。
むしろ、ほんの少し引っかかる。
その引っかかりが、曲の爽やかさを中和しているように感じる。
もし、あの声がもっと透明で、もっと伸びやかで、
もっと「誰が聴いてもいい声」だったら、
Gin Blossomsはもっと爽快なバンドになっていたかもしれない。
でも、そうならなかった。
ギターが軽快に鳴っているところへ、少し曇った声が乗る。
青空の向こうに薄い雲が見える。
完全には晴れていないリアルさ。
楽しいけど、どこか寂しい。
青春のようでもあり、青春を少し遠くから眺めているようでもある。
そこがいい。
私はどうも、「きれいな声」そのものには、
そこまで強く惹かれない。のかもしれない。
声には、少し癖があってほしい。
使い込まれた革のような声だったり、
老いた野良犬が吠えているような声だったり、
世界の終焉を垣間見るような声だったり。
その人にしか出せない、何かが残っている声。
Gin BlossomsのJesse Valenzuelaも、
そういう意味で気になる声だ。
ただし、彼の声はそこまで重くない。
暗闇に引きずり込むわけでもない。
人生の苦味を真正面から突きつけるわけでもない。
ほんの少しざらつきを残す。
その「ほんの少し」が絶妙なのだと思う。
コーヒーやゴーヤが、苦いのにおいしいと感じるように。
甘いだけでは、味が単調になる。
苦味が少し入ることで、甘さまで違って感じられる。
Gin Blossomsも、そんなふうに聴こえる。
爽やかな曲に爽やかすぎない声。
軽快さの中にほんの少しの曇りがあるから、
気になって、私は何度も聴きたくなる。
Gin Blossomsは、日本では大きな知名度を持つバンドではない。
「知っている人は知っている」。
そんなところにいるようだ。
たぶん私は、誰もが「名曲」と呼ぶものを探しているわけではないんだと思う。
自分の耳に、何かが引っかかるものを探している。
その引っかかりが、声だったり、ギターの音だったり、
ほんの一瞬の息遣いだったりする。
Gin Blossomsに引っかかったのは、
Jesse Valenzuelaの、あの少し鼻にかかった声。
爽やかな曲を爽やかなまま終わらせない、
そう、ちょっと情けない感じがする声なのだ。
情けない感じでいいのか?
いいんだよ、それで。
そこがいいんだから。
紅弦8月9月の予定
【鑑定所】
8月23日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
8月30日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
9月12日(土)静岡PARCO『占いのアリーナ』
9月13日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
9月20日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
9月27日(日)沼津駅アントレ2階『えにし屋』
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