死んでるところ悪いんだけど | 紅弦Worldへようこそ

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3年半前に死んだ父が 時々夢に出てくる。


夢の中でも死んでる設定なんだけど


私はあまり気にならないらしく、


フツウに話しかけてしまう。






その昔、我が家には


大きなオーディオセットがあった。


ステレオ と呼んでいた気がする。


レコードデッキ、カセットデッキ、CDデッキ、


オープンリールデッキもあり、


アンプも細かく調整できるものがついていて、


スピーカーも とても大きなものだった。


私はオープンリールの大きな丸が2個


シュンシュン回るのを眺めているのが好きだった。


アンプをいじって自分好みの音のバランスを探すのも


楽しみのひとつだった。





夢の中


どこかの2階、10畳ほどの部屋に


それらによく似た大きなオーディオセットがあり


私は手に小さなCDプレイヤーのようなもの を持っていて


そこに入っている音楽を、


この大きな機器の音質で聴く事はできないか?と


線と線を繋いでみたり、模索していた。


うまくいかないなぁ~ってところへ、父が現れる。


「じぃじ、久しぶり」


「おぅ!元気か」


「うん元気! あのねじぃじ、


 死んでるところ悪いんだけど
 
 これ聴けないかなぁ?」


久しぶりなのに突然無茶ぶり。


「どれ、見せてみろ」


死んでいる父を容赦なく使い


音楽を聴くことに成功したのであった・・・





ゆったりとピアノで前奏が始まる。


「あ、この曲が入ってたんだ なつかしぃ~」


美しいメロディと 胸が詰まるような切ないヴォーカル。




自然に目を閉じる。


すると 音の奥行きと厚みが増すように感じた。



ミルフィーユのように重なるコーラス。


間奏のギターのソロに鳥肌が立つ。


頭というか瞼の裏の奥の方というか、


うまく表現できないんだけど


自分のの中に深く広がる


空のような「何か」が どうにも大きすぎて


私は全身で音楽を聴くしかなかった。






目が覚めて、まだ頭の中に流れ続ける


懐かしい曲を探した。





TOTO 【Ⅳ】聖なる剣 より


「Iwon't hold you back 」


1982年、私が初めて触れた洋楽の その1曲。