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先週の土曜日の話になりますが、近所に住む男性が、1頭の白い仔犬を持ち込んできました。
仔犬といっても、そろそろ乳歯が抜け始めた生後5ヶ月齢ほどの男の子。
紀州犬のミックスのような容姿で、おそらくはそれくらいの中、大型犬サイズに成長する感じです。
現在、私たちには手のかかる仔犬を受け入れる余裕がなく、断ったのですが、連れてきた飼い主は、
「アンタが引き受けないなら、保健所に連れて行く。」
と、お決まりのセリフを吐くと、有無を言わさず強引に仔犬を置いて帰っていきました。
困り果てていたところに、いつもお世話になっている保護団体Depの副代表様が偶然立ち寄って、「それならウチが引き取る」と連れ帰ってくださりました。
以前の事件の時も、散々お世話になりましたが、いつもいつも本当にありがとうございます。
以下のリブログをご一読ください。
さて。
Dep様のところには、保護犬も6頭いますが、主としてネコを扱う保護団体で、その数は30匹を下回ることはありません。特に先月からの出産シーズンで、あちこちから20匹もの目も開かない乳飲み子を持ち込まれてしまいました。
代表さんは寝る間もなく世話をしたあげく、先日、過労で倒れて、貧血と栄養失調と診断されたほどです。
そんな状態の中、さらに仔犬を引き取っていただくのは、なんとも心苦しいのですが、ポーズハンズのあいはあいで、一昨年の重病の後遺症が引きずっていて、正直なところ、余命がどれほどかも定かではありません。
現状で仔犬はとても無理なので、Dep様のご厚意に甘えさせていただくことになりました。
このように、ほとんどの保護団体は、慢性の睡眠不足で満身創痍な体を奮い立たせながら、文字通り命を賭けて保護しています。
そんな人間がいる一方、
そんな人間の状況や事情など顧みず、
「お前らは好きでやってるんだろ?
なんとしてでも今日中に引き取れ。
さもなくば保健所で殺処分してもらうだけだ。」
と脅しつけて、捨てて行く人間もいる。
しかもその理由を、
「孫が欲しがってたから貰ってきたが、勉強が忙しくて世話ができなくなったそうだ。
オレたちも近々旅行に行きたいから世話なんかできないし、
そもそも臆病で番犬にもならんし、こんな犬もういらん。」
と、罪悪感1つない平然とした顔で言い放つ。
Depの代表様から、『モロ』と名付けられたこの仔犬。
初日から、ネコとも他犬とも仲良くできる本当に良い子です。
なんの罪もないこんな良い子が、軽い気持ちでもらわれ、2〜3ヶ月後に「やっぱり世話ができないから」と飽きたオモチャのように捨てられる。
しかも、連れてきた時に着けられていた首輪は、ネコ用のもので、首にギチギチに食い込んでいました。おそらくは貰ってきた生後2ヶ月くらいの頃に着けたままに放置していたのでしょう。
このような例が、極めてマレなケースなら、今回捨てた人物が例外的な非常識人、悪人だと罵るだけで終われるでしょう。
しかし。
犬は家族だの、殺処分ゼロを目指すだの、耳障りの良い言葉ばかりが一人歩きしていますが、はたして20年前、30年前に比べて、愛犬家のモラルは一体どれほど変わったのでしょうか。
そもそもこの仔犬はどこから貰われてきたのか。
商品価値のある純粋犬種ならまだしも、どうしてこのようなミックス犬が生まれてくるのか。
計画的に繁殖したとはとても考えられず、知らない間に生まれていた、といったところでしょうし、
もし計画的だったとしたら、「うちの犬にも母としての幸せを経験をさせてあげたい。」などという、歪んだ愛犬家にありがちな、歪んだ愛情くらいしか考えられません。
どっちみち、もらった人間もいい加減なら、繁殖した人間もいい加減。
さらにその先にも無限にこのような人間がいることを考えると気が遠くなります。
命を金儲けの道具にする悪徳ブリーダーを非難する人は多いですが、実のところ保健所に収容されている多くの犬はモロ君のようなミックス犬が大多数を占めています。
悪徳ブリーダーなどよりも、もっともっと悪質な人間は、どこででも見かける、軽い気持ちで犬を飼い、粗末な飼い方が当たり前だと思っている普通の人たちです。
「殺処分ゼロを目指すには、保護するばかりではなく、捨てる人を減らす。蛇口を閉めなければこの連鎖は終わらない。」
と言われる人は多いですが、本当にこういう人たちと一度でも接したことがあるのでしょうか。
捨てることに一抹の罪悪感も抱いていない人間に、どんな言葉を投げかけても響くとはとても思えない。
殺人や強盗のような明らかな犯罪ですら後を絶たないこの世の中で、犬を保健所に持ち込んで殺処分してもらうことは犯罪でもなんでもない。
映画や小説のように、誠意をもって話せばわかってもらえて最後はハッピーエンド。なんてことには決してならないように思います。
犬を保護することや、世話をすることよりも、次から次へと現れる身勝手な人間と接するストレスで、疲れ果ててしまいます。
それでも目の前に現れてしまった以上は、救わなければなりません。
Dep様、このたびは本当にお世話になります。
モロくんが、次こそは素晴らしい飼い主さんに出会えることを祈っています。