すきま桜とうその都会 | パブロフのブログ

すきま桜とうその都会

この作品はうそが最大のテーマになっています。
一言でうそと言ってもうそにも様々な形があり、
この作品においてうそという要素は決してマイナスの要素でなく、
むしろ人が人として正常に生きていくための必須要素として使われています。
本来のうそという言葉の意味やうそから派生したあらゆる慣用句を用いて、
半ば言葉遊び的ながらもきちんと作品内の現実とすり合わせていくその段取りが非常に巧みな作品で、
確かにこういう形のうそならば許容できると読み手に思わせるだけの説得力がありますね。
シナリオとしてはとにかく咲良と鈴、特に咲良シナリオの出来が破格です。
互いが互いのことを大切に思いけれど互いに今の幸せを突き崩したくなくて、
相手のために何重にも巡って張り巡らされたうそを、
一つ一つ丁寧に解きほぐしていくその過程が素晴らしく丁寧に書かれたシナリオですね。
個人的には咲良シナリオだけで名作確定の出来でした。
このライターさんだいぶ読みやすいテキストを心がけているなあと思いました。