ポール・マッカートニー 語録 AC1 “Now And Then”の舞台裏を語る | ポール・マッカートニー 語録

ポール・マッカートニー 語録

Paul McCartney In His Own Words

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 ビートルズ最後の新曲「Now And Then」は

2022年末にリリースすることも考えていたという。その後、

4月にずれ込み、さらにずれ込み、11月になったという。

延期の一因にはローリング・ストーンズの新作もあったという。Apple Corps Ltd.のジョナサン・クライドは

Varietyのインタビューの中で話しています。

リリース発表から楽曲リリース、ミュージックビデオ公開が

短い期間に行われたことにも理由がありました。

Q:リリースとプロモーションの計画は

どのように立てましたか?

「とても短い期間にするつもりだった。じつは、

昨年末に“Now and Then”を出すことを考え始めたんだけど、

それは無謀なことのように思えた。そして4月にずれ込み、

6月にずれ込み、11月になることは目に見えていた。

あまりに早く(リリースすることを)発表しすぎて、

3ヶ月もリリースがなかったら、

人々は気が狂ってしまうだろうと思った。

だって、“ビートルズのニュー・シングルが出るのに、3ヶ月も

待たされるなんてどういうことだ?”となるだろうからね。

そこで、何度も話し合った結果、

ごく短い期間で発表することにした。

赤盤と青盤と一緒に10月26日に正式に発表したので、

人々の注目度はずっと高かった。そして、

11月1日(水)にショートフィルム、2日(木)に曲本体、

3日(金)にピーターのビデオと、3つの展開がバンバンと

行われた。あまり長く待たせたくなかったんだ」

Q:もちろん、ポールが3月に「Now and Then」について

話していたから、気になる人たちは、すでにそれが来ることを

知っていました。その後、リンゴの誕生日のお祝いに

行きましたが、彼はレッドカーペットの上でも

平気でこの曲について話していたので、

もはや超重要機密ではなくなっていましたね。

「ユニバーサルから漏れるんじゃないかと心配していた。

ポールとリンゴはこの曲のことを話すことにしたんだけど、

彼らにはその権利がある!彼らの曲だからね! 

『Anthology』の頃に“Free as a Bird”がリリースされようと

していたとき、それはすべて内緒の話だった。

ジョージ(ハリスン)はシルク・ドゥ・ソレイユを

運営していたギー・ラリベルテとオーストラリアで行われた

F1のミーティングに行った。その後にパーティーがあって、

それはかなりの騒ぎになったんだけど、ある時、ジョージが

“これをかけてくれ ”と言って彼は“Free as a Bird”のプレス盤をDJに渡して全部ばらしたんだ。

そのニュースはオーストラリアから全世界に

発信されてしまった 。“Free as a Bird!”。みんな、

“はぁ?ジョージ、何してるんだよ?”となったよ(笑)」

Q:この曲は昨年完成しているので、ドキュメンタリーやミュージックビデオを考える時間がたくさんあったのでしょうか?

「今年の初めにリリースする予定だったから、

ちょっと慌ただしかったよ。

でも、僕にオリー(オリヴァー・“オリー”・マレー/“Now And Then”の12分間のドキュメンタリーの脚本と監督を担当)を

紹介してくれたのはソフィー(ヒルトン/ユニバーサル)で、

2月下旬に僕がニュージーランドにいたときにZoomで話しを

したんだ。当時はまだ4月を見据えていて、僕は“ああ、大変だ、どうやってこれを終わらせるんだ?”と思っていた。

彼ら自身の言葉でこのストーリーを語ってもらうのが

いいんじゃないかと話し合ったんだ。

だから、ポールとリンゴとショーン(レノン)にインタビュー

するわけだけど、彼らは必ずしもカメラに映っている必要は

ないので、彼ら全員を撮影するよりもはるかに早くインタビューを終えることができた。これらのインタビューは3月に行われ、オリーはそこからストーリーを構築していくことができた」

Q:通常、ビートルズの製品は年末に発売されると思いますが、なぜ当初は春になる予定だったのですか?

何か理由があったのですか?

「ポールとリンゴについては、早く出したいという印象を

受けた。彼らはもう80代で、物事を早く進めるのが好きなんだ。でも、早くて悪いことならしない。それに(ローリング)

ストーンズのリリースが間近に迫っていることも知っていた。

彼らのリリース日に近いと

“ああ、またビートルズ対ストーンズだ”というような、

ただの怠惰なメディアのネタになるのも避けたかった。

今となっては (競合と思われていた) そんな時代はとっくに

過ぎ去ったと思うけど、2つのリリースの間に距離を持たせる

ことに意味があったのは確かだよ。

(※結局、ストーンズのアルバム『Hackney Diamonds』も

遅れて“Now and Then”の2週間前に発売された)」

Q:ニュー・シングルは、常に赤盤と青盤のリリースと

連動させるつもりだったのでしょうか、

それともそのアイデアは後から出たのでしょうか?

「何度も話し合ったよ。別のアイデアもあったけど、結局は

噛み合わなかった。赤盤と青盤を祝うことには意味があった。

何しろ、何世代もの人々が赤盤と青盤を通じてビートルズを

知ったわけだし、今年は50周年なんだからね。シングルは、

シングルであることとは別に、故郷を持つ必要があった。

だから、赤盤と青盤をやって青盤に“Now and Then”を

加えたんだ。シングルの枠を超えた居場所ができたんだ」

Q:ジャイルズ・マーティンにインタビューしたとき、

あなたと同じように、ヒット曲のパッケージには

別のアイデアもあったと話していました。

「『Now and Then』という新しいコンピレーション・アルバムを作ることは検討していた。みんないろいろなリストを作ったりしたんだけど、結局、赤盤と青盤を見てみると、赤盤と青盤には本当にたくさんの曲が収録されていることに気づいた。

赤盤と青盤をお祝いして、まだ収録されていない曲を

もっと増やしてみたらどうだろう?となった。

“I Saw Her Standing There”は赤盤に収録されていなかった。今となっては驚くべきことだよね、

この曲はアンセムになっているから。

だから、当時、赤盤と青盤に収録されなかった曲を

追加したんだ......赤盤にはジョージ・ハリスンの曲が

なかったから、それを追加したんだ。

ミックスを聴いたかい?

“I Saw Her Standing There”を聴いて、

2009年のリマスターと聴き比べると、まさに光年の差だよ。

“I Saw Her Standing There”は元々、

音の壁があるような録音で、

2009年のリマスターは擬似ステレオ・ヴァージョンだった。

それが今回では、すべての分離、すべてのディミックスが

様々な箇所で行われたことで、実際にすべての音がクリアに

聴こえる。手拍子が突然重厚になり、ギターのリバーブが

突然明瞭になる。

だから、新しいミックス、特に初期の曲のミックスは、

まだあまり遡ったことがないんだけど......もちろん、『Pepper』以降の後期のリミックスはたくさんやったけど、

今回はもっと過去に遡っている。“I Saw Her Standing There” や“Twist and Shout!は信じられないようなサウンドだった。音楽は同じだけど、大きくて、すべての楽器の音が聴こえる」

Q:何年か待てば、ジャイルズのリミックスが

リリースされるのでしょうか?

「(笑)まあ、一旦これを始めたら、僕らは何かを始めたようなものだからねし...うまくいくよ。それをいじるべきではない、

それが本来の姿なのだ、と言う年寄りがいるかもしれない。

でも、もし誰かが物事を変えることができるとしたら、

それはビートルズ自身なんだ。彼らは実験が好きだった。『Revolver』は最初のデミックス・リミックス・アルバムだったと思う。そして今、赤盤のミックスの多くは特に興味深いし、

有効だと思うよ」

 

2023/11/23 amass