『レット・イット・ビー 』について、
つい最近思い出した面白いことの一つは、
高校で、大好きなアラン・ダーバンド先生のもとで英文学を
勉強していた時、『ハムレット』を読んだことがあったんだ。
当時は、言葉を試験で引用しなければならなかったから、
暗記が必要だった。劇の後半に2、3のせりふあって、
それが『おお、話しておきたいことが...だが、しかたがない。
ホレイショー、俺はもう死ぬぞ』というんだ。
これらのせりふは、僕の記憶のなかに無意識に植えつけられて
いたのではないかと思う。
『レット・イット・ビー』を書いていた時、
僕は何もかもやりすぎて、ボロボロになっていた。
そしてそれが被害を及ぼしていたんだ。バンドも僕も、
歌にあるように、みんな困難な時期を経験していて、
混乱から抜け出す方法がないように思えた。
疲れ切ってぐっすり眠っていたある日、夢を見た。
(他界して10年経っていた)母メアリーが
本当に僕のところに来てくれたんだ。
自分が失った人に会うという夢を見る時、ほんの数秒でも、
本当にその人が自分のすぐそばにいるように感じられ、
まるでいつもそこにいたかのように感じられる。
身近な人を失った人なら誰でもそれを理解していると思うよ。
今でも僕はジョンやジョージの夢を見て
彼らと話したりすることがあるんだ。
でも、この夢の中で、母の美しい優しい顔を見て、
穏やかな場所で一緒にいるととても癒されたんだ。
母は僕が人生で何が起こっているのか、
また何が起こるのかを心配していることに気付いたようで、
僕に 『すべてうまくいくわよ。そのままにしておきなさい』
と言ってくれた。
( ザ・リリックス: 1956 トゥ・ザ・プレゼント /
サンデー・タイムズ紙 / Bang Showbiz 2021/10/24 )