あれ?

百田尚樹の隣にいるのは誰だ?

 

飯山陽(あかり)って、最近、ハマスvsイスラエルの本を書いている人だよね。

 

9人が出馬して大乱戦の衆院東京15区(江東区)補選で17日午後、衝撃が走った。一部情勢調査で、日本保守党の飯山陽(あかり)氏(48)への支持が前回調査に比べて急激に上がったのだ。SNSでは連日、飯山氏や日本保守党の名前がトレンド入りしており、代名詞となった「魂の辻立ち」への反応もいいという。選挙戦を取材した。

 

 

 

へえ~、飯山氏は日本保守党から補選に出馬しているんだ。

 

この人の本を最近、本屋でよく見かける。

中東研究者、イスラム研究者ということだけど、ちょっと立ち読みしたら、ハマスはテロ集団だ、パレスチナ支援を止めよ!みたいなことばっかり書いている。

同じイスラム研究者でもイスラム教徒の中田考とは正反対だ。

 

なんかよくわからないので、最近出版された高橋和夫『ハマスとガザ戦争』(幻冬舎)と宮田律『ガザ紛争の正体』(平凡社新書)を買った。

 

この二冊を読めば読むほど、飯山陽氏の主張があまりにもイスラエル側の立場だけで語っているように思える。

 

飯山氏はこれまでマスコミでも同じようなことを言っている。

 

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム過激派テロ組織ハマスがイスラエルに対する無差別テロ攻撃を開始し、イスラエルとハマス掃討作戦を開始してから3カ月が経つ。

ハマスがガザ全体を巨大なテロ基地に改造し、ガザの民間人を盾にとってイスラエルに対するテロ攻撃を続けてきたことはこれまでも知られてきたが、イスラエル軍がガザに侵攻し調査を進める中で、それを裏付ける数多くの事実が明らかになってきた。

 

 

 

 

そして、飯山氏はこう言う。

 

ガザにはこれまで、世界中から多額の支援金、大量の人道支援物資が供与されてきた。日本政府は2023年6月、過去30年間に約3200億円(23億ドル)のパレスチナ支援を行ってきたと発表しており、ガザへの支援も行ってきたと明言している。政府によると2022年だけでも、ガザへの支援総額は約31億円(2200万ドル)に達する。

ガザを支配しているのはハマスであり、ハマスの関与なしに支援金や支援物資をガザの民間人に届けることは不可能だ。日本の支援金や支援物資がハマスにわたり、テロに利用されていないことを保証するものはなにもない。

 

これはウソを言っているわけではない。

 

しかし、イスラエルとガザの問題は、そこだけを切り取って語ると、一方的にハマスというテロ集団がイケないことをやっているだけの問題に見える。

ガザで負傷し、飢えている人がいるのに支援をしなくていいみたいに聞こえたりする。

 

しかし、ちょっと知識がある人なら、この問題はイスラエルが1993年のラビン首相(イスラエル)とアラファト議長(パレスチナ解放機構)との間で結ばれたオスロ合意を反故にして、パレスチナが統治するはずだった土地にイスラエルがユダヤ人を入植させていることを知っている。

実質的な土地の侵略とも言える。

その入植している土地とは、ヨルダン川西岸だ。ガザはエジプトの北東に隣接する土地だが、イスラエルによって陸上も海上も封鎖されている。

 

 

 

パレスチナの国家が建設されるはずだった土地は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に分かれ、両地区がパレスチナ自治区とされている。

しかし、イスラエルの入植活動等により年々実質面積が縮小し続けている。特にヨルダン川西岸地区は、メディア等が示す地図全体が自治区ではなく、自治区はその中に点在するようになっている。現在でもその範囲は狭められている。


(出典:パレスチナ子どものキャンペーンHP)

 

これまでもハマスはイスラエルに4回ほど攻撃をしかけていた。

最新兵器をそなえ、日本の自衛隊12万人以上の14万人の兵士を擁しているイスラエルに、ゲリラ兵に毛の生えたようなハマスの兵士が勝てる戦争ではない。

だから、イスラムの聖戦(ジハード)で自爆攻撃もやっているのだ。

 

高橋和夫氏はこう言っている。

 

――パレスチナ自治区がどんどん小さなエリアになっているのは、入植によってそうなっていったからでしょうか。 

高橋 基本的には、全部イスラエルが支配していたわけですが、オスロ合意で少し返してあげようということになって、それが少し広がっていったのですが、そこで止まっているのです。共同管理地域に住んでいるパレスチナ人の土地を取って、ユダヤ人がどんどん入ってきている状況です。

――そうすると、事実上の自治区とはいえないのですか。

高橋 自治区ではありませんね。町内会みたいなものです。飛び地のようになっている自治区の間を移動しようとすると、そこには検問所があるのです。そこでイスラエル兵が、身分証明書を調べ、「なぜ行くんだ」とか、「行かなくていい」とか言われて、すごく意地悪をされるのです。学校にも自由に行けない、病院に行こうとしてもイスラエルが行かせない例もあります。本当に身動きもとれないのです。日々パレスチナ人の生活は脅かされているのです。そういうことに対する不満が今回爆発したのです。だから、「イスラエルによる構造的なテロに対するハマスのテロ」というのが私の見方です。

したことについて

 

――パレスチナ自治区がどんどん小さなエリアになっているのは、入植によってそうなっていったからでしょうか。

高橋 基本的には、全部イスラエルが支配していたわけですが、オスロ合意で少し返してあげようということになって、それが少し広がっていったのですが、そこで止まっているのです。共同管理地域に住んでいるパレスチナ人の土地を取って、ユダヤ人がどんどん入ってきている状況です。

――そうすると、事実上の自治区とはいえないのですか。

高橋 自治区ではありませんね。町内会みたいなものです。飛び地のようになっている自治区の間を移動しようとすると、そこには検問所があるのです。そこでイスラエル兵が、身分証明書を調べ、「なぜ行くんだ」とか、「行かなくていい」とか言われて、すごく意地悪をされるのです。学校にも自由に行けない、病院に行こうとしてもイスラエルが行かせない例もあります。本当に身動きもとれないのです。日々パレスチナ人の生活は脅かされているのです。そういうことに対する不満が今回爆発したのです。だから、「イスラエルによる構造的なテロに対するハマスのテロ」というのが私の見方です。

 

 

 

ハマスがガザ地区で力をもってきたのは、オスロ合意後に交渉がすすまないときに起きた「インティファーダ」というパレスチナ人の蜂起で支持を集めた頃からだ。

はじめは石を投げたりして、ほぼ素手での闘争だったので、市民に支持されていたが、そのうち銃とかを持ち出した。

ハマスの他にもいくつかテロに訴える政治勢力が出来た。

その後、アラファトは亡くなり、それまでアラファトが率いていたファタハに代わって、ハマスが実権を握る。

ハマスはイスラム原理主義で、イスラエルの存在を認めない。

それはネタニヤフがユダヤ教原理主義で、パレスチナの存在を認めないのとよく似ている。

 

ハマスがガザ地区で市民の支持を得ているのは、テロ行為をやっているからではない。

ハマスは慈善活動で市民に食事を与えたりもしている。

イスラム原理主義はイスラム教徒には優しいのだ。

 

一昨日のTBSの報道特集では、ガザ地区北部に支援物資が届かず、栄養失調のこどもが病院に運び込まれたりしていることが報じられていた。

 

平和を望む世界の市民は、即時、停戦から終戦を願っているだろう。

 

ハマスはイスラエルにとって、ファタハと違いテロを口実に交渉を棚上げにできる相手だったので、活かしていくのがよかった。

しかし、今回はハマスの攻撃が予想以上に上手くいったので、イスラエルが殲滅=民族浄化を狙っていると思われる。

 

 

 

そのときに、遠い中東の事とは言え、専門家を名乗る人が、イスラエル一辺倒の情報を流すのは理解に苦しむ。

 

その人が、百田尚樹と宣伝カーに乗っている。

 

何とも不思議な光景だ。