前回のブログで日本の新聞購読部数が減少していることを書いた。

 

 

 

今回は、こういう状況のなかで、商品としての「しんぶん赤旗」について、マーケティング視点から考えてみる。

 

 

マーケティングを考えるとき、新たな市場に製品を投入するなら、PEST、5F(ファイブ・フォースイズ)、STP、4P、3Cなどのフレームワークを使ってコンサルティング会社が分厚いレポートを書くと思います。

 

でも、パトラとソクラ研究所は、しんぶん赤旗という特殊な商品をマーケティング視点で見るとき、クロスSWOTで十分だと思うのです。

 

「SWOT分析」というのは、今では職場の研修や学校の授業でも用いられている事業戦略の策定やマーケティングで利用するためのフレームワークです。

組織や新規サービスなどの分析したい要素を対象として、内部経営環境と外部経営環境を意識しながら、プラス要因やマイナス要因に分類した4つの項目について分析するものです。

これを研修や授業でわいわいがやがや行うのが達成感があるようですね。

SWOT分析では、解決したい目標に対して、内部環境や外部環境におけるプラス要因、反対のマイナス要因を抽出するという手法がとられてきました。

しかし、4つの箱を埋めるのに主観的な感想に徹してしまう傾向もあり、最初から歪んだ評価が入ってしまうこともあります。
そこで、SWOT分析を外的環境と内的環境と合わせてフレームワークに落とし込むクロスSWOT分析が開発されました。

これはSWOT分析と3C分析を組み合わせたものともいえます。

 

 

SWOT分析では、このテンプレートを利用して、4つの要素に関して以下のような観点で項目を列挙していくことになります。

 

「強み(Strength)」:会社や組織内部など内部環境のプラスの要因。「高い製品開発力」や「サービス品質」などがこれにあたる。

「弱み(Weakness)」:会社や組織内部といった内部環境のマイナス要因。同業他社に対して遅れをとっているサービスなどがこれにあたる。

「機会(Opportunity)」:有利となる市場の成長性や、競争優位性などいった外部環境のプラス要因。

「脅威(Threat)」:市場の縮小や、競争激化の可能性といった外部環境のマイナス要因。

 

内部環境に該当する「強み」や「弱み」は、自社でコントロール可能な項目であり、外部環境である「機会」や「脅威」は、自社でのコントロールが不可能な項目と認識しておくと良いだろう。

 

まず、このSWOT分析をやったうえで、外的環境と内的環境をクロスさせてるのがクロスSWOT分析です。

 

SWOT分析で利用した4つの項目区分である、「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」をそれぞれ掛け合わせることで、選択すべき戦略を明確にしていくことができる。

 

 

 

しんぶん赤旗と日本共産党をとりまく環境の機会と脅威、組織の強みと弱みは、2024年4月7日に行われた第2回中央委員会総会の「党づくりの後退から前進への歴史的転換を――全党の支部・グループのみなさんへの手紙」のなかからも拾うことができます。

未読の方はぜひこの機会に「手紙」をお読みください。
 

 

 

「手紙」の言葉をフレームワークに落とし込みます。

 

 

「機会(Opportunity)」:有利となる市場の成長性や、競争優位性などいった外部環境のプラス要因。

いまの情勢をどうとらえるか。大会決定は、腐敗政治、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国などについて、「今起きている問題は、どれをとっても自民党内で政権のたらいまわしをすれば解決するという問題ではありません。自民党政治の全体が末期的な状況に陥っています」と情勢を特徴づけました。それから2カ月半、この解明の方向で、情勢の劇的な進展が起こっています。

 

「脅威(Threat)」:市場の縮小や、競争激化の可能性といった外部環境のマイナス要因。
 

なぜ長期にわたって党勢の後退が続いてきたか。多くのみなさんが答えを求めていることだと思います。党大会では、ソ連・東欧の崩壊による反共の逆風などの客観的困難とともに、党の方針と活動という主体的要因に深くメスを入れ、この問いに対する答えをしっかりと出しました。

 

「強み(Strength)」:会社や組織内部など内部環境のプラスの要因。「高い製品開発力」や「サービス品質」などがこれにあたる。

 

党大会決定は、次期党大会までに、すなわち2年間で、①第28回党大会時現勢――27万人の党員、100万人の「しんぶん赤旗」読者を必ず回復・突破すること、②第28回党大会で掲げた青年・学生、労働者、30代~50代での「党勢倍加」、1万人の青年・学生党員と数万の民青の建設をはかる「5カ年計画」の実現にむけ、2年後までの目標をもち、やりとげることを決めました。
2年間でこの目標を実現できるかどうか。ここに文字通り、わが党の命運がかかっています。


「弱み(Weakness)」:会社や組織内部といった内部環境のマイナス要因。同業他社に対して遅れをとっているサービスなどがこれにあたる。

 

 80年代末~90年代、党員拡大を後景においやる方針がとられたことが、党員拡大の「空白の期間」をつくり、それが今日の党建設に大きな傷痕を残していること、そして傷痕がもたらす困難を自覚し、弱点を打開するイニシアチブがとれなかったことを、中央の反省として党大会決定に明記し、何があっても党員拡大をゆるがず党建設の根幹にすえ、持続的な前進をはかることを教訓としました。

 

 

 

しかし、しんぶん赤旗の外的環境の脅威や内的環境の弱みはこれでは客観的にとらえたことにはなりません。

 

たとえば、左翼系の新聞と言われる朝日新聞は競合他社または併読されている新聞ではないかと思われますが、朝日新聞でさえ、も大きく部数が減少しています。

 

 

共産党員が評価する『週刊金曜日』も、創刊当初の1993年に5万3000部だった定期購読部数は、2018年時点で1万3000部となっています。

 

 

 

そもそも文字媒体の印刷物が読まれなくなっているのです。

 

日経新聞が成功している電子化、アプリ化の大きな流れもあります。

 

そもそもしんぶん赤旗は購読はしているが読まれていないという問題もあります。

 

日刊『赤旗』は20万部弱。全国紙としては採算割れで、月々数千万円以上の赤字が出ています。党員は毎日の『赤旗』を読んで党の方針を知るタテマエですが、党員が約28万人と言われているので、3分の1の党員が日刊紙を読んでいないということになります。

 

 

そういう要素をあれこれして、できあがったクロスSWOTがこれ。

 

 

よく見ると、2中総の「手紙」が述べているのは、朱書きの「脅威」「弱み」の営業を鼓舞することだけ。

これを中北浩爾氏などは、精神論だけと批判しているのでしょう。

これではしんぶん赤旗の再生、部数拡大は無理でしょう。

 

常任幹部会では、ぜひこのクロスSWOTで議論してみてください。

きっといい案が浮かびますよ♡