年明けから東郷ゆう子氏の除籍裁判でいくつかの書面が神戸地方裁判所に提出されている。

 

(神戸地方裁判所)


①    1月19日(日共県委・地委)準備書面(2)

 

https://kiharalaw.jp/wp-content/uploads/2024/01/fd3a5fe63019485ef2f2ba3c34ef30df.pdf1


②    1月22日(味口市議)準備書面(2)

 

https://kiharalaw.jp/wp-content/uploads/2024/01/a58be97d96c2a405b749bc6f0abf4c87.pdf


③    1月26日(日共中委)準備書面(2)

 

https://kiharalaw.jp/wp-content/uploads/2024/01/a59655cc15e9813f8e731fdb8bdf6021.pdf


④    1月26日(東鄕氏側)第3準備書面

 

https://kiharalaw.jp/wp-content/uploads/2024/01/193857e6bba2d882cb00dfcbd7ca5150.pdf

 

⑤    1月29日(東鄕氏側)第4準備書面

 

https://kiharalaw.jp/wp-content/uploads/2024/01/a5dc626a5249a02d5cb264715a526669.pdf

 


これらの主張を読み、何が争点となっているのかをまとめてみる。



【1】令和2年11月25日の判例変更を今回の裁判に適用するかどうか

令和2年11月25日に最高裁で「出席停止処分取消等請求事件」について判決があった。これは宮城県の岩沼市議会の議員が,市議会から科された23日間の出席停止の懲罰の適否を争ったものだった。
これまでは議員の身分を失わせるものは裁判の対象となるが、そうでないものは、市議会の規律に委ねられるものであり、裁判の対象とならないという判例が踏襲されていた。


しかし、この裁判で最高裁は、「普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。これと異なる趣旨をいう所論引用の当裁判所大法廷昭和35年10月19日判決、その他の当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。」と判示した。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/851/089851_hanrei.pdf

 

この判例変更は画期的である。

60年以上前の1960年の最高裁判決での判例が見直されたのである。

昭和63年の袴田里見の家屋明渡事件でもこの裁判を踏まえ、政党の自律権を尊重し、除名理由そのものへは踏み込まなかった。
    
これが「部分社会の法理」を一部変える判例だと法律関係者の間では評価されている。
 
しかし、今回の裁判で、日本共産党側はこう言っている。 

 

原審の判断は,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の 懲罰の適否は一律に司法審査の対象とならないとした最高裁昭和34年(オ)第1 - 3 - 0号同35年10月19日大法廷判決・民集14巻12号2633頁に反するというものである。

この判例変更は地方自治の本旨を置く地方議会の自律権であって、政党の内部規律とは違うものとの見解だ。


 また、政党への適用がないことについてはこう言っている。

 

「政党助成法」「政党法人法」が平成6年に制定され、「一般市民法秩序と直接の関係」が認められるに至ったと東鄕側が主張するが、昭和63年最高裁判決(袴田里見家屋明渡事件)は「内部的な問題」にとどまらない場合として「処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合」と判示している。つまり今回共産党を除籍されても、東郷ゆう子氏はほかの党からの「被選挙権」を有するので一般市民としての「損害」はない。


つまり、今回の裁判は「一般市民としての権利権益」ではなく、権利侵害が問題となる対象ではないという主張である。

それに対して東郷氏側はこう言っている。

 

原告第 2 準備書面添付の判例一覧表①記載の判決(令和 2 年 11 月 25日最高裁判所大法廷判決。以下「令和 2 年最判」といふ。)は、日本共産党としては、部分社会論からの脱却を宣言した判決として肯定的に評価されるものであり、昭和 63 年 12 月 20 日最高裁判所第三小法廷判決(判例一覧表⑳記載。以下「昭和63 年最判」といふ。)の前提となつた「一般市民法秩序」といふ部分社会論による司法消極主義も修正されたものと評価することが論理的整合性を保つことになるのである。 


令和2年の判例変更は政党にも当てはまるというのが東郷氏側の主張であり、あれは地方議会の問題であり、政党には当てはまらないというのが日本共産党側の主張である。

 

(東郷ゆう子氏)


【2】東郷ゆう子氏が権利制限措置の無効確認訴訟を行ったことが、党規約違反で「除名処分」として正当な理由となるのか

また、東郷ゆう子氏が権利制限措置の無効確認訴訟を行ったことが、日本共産党の規約違反として「除籍処分」したのは合法なのか違法なのかも争点である。

東郷氏側はこう言っている。

 

昭和 63 年最判では、「右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによって決すべき」と説示してをり、公序良俗違反、適正手続違反及び条理に違反するのである。


つまり、東郷ゆう子氏が権利制限措置の無効確認訴訟を行っていることをもって、「除籍処分」とするのは、党規約の「党の問題は党内で解決する」という党規約違反で「除籍処分」とする正当な理由になるのか? 裁判を受けるということで除籍処分にするのは、公序良俗違反、適正手続き違反及び条理に違反しているのであり、今回は司法が尊重すべき政党の自律性の範囲を超えているという主張だ。

また、東郷ゆう子氏は日本共産党の候補者として被選挙権の行使を望んでいた。
しかし、灘民商は令和5年 5 月 9 日付けで東郷氏をを解雇した。その解雇理由は「県会議員候補として共産党に出向したが、選挙活動を怠った」ということも含まれていた。東郷氏は、次の選挙にも立候補して被告らに貢献して当選したいとの強い期待を抱いていたが、事実無効の理由で灘民商から解雇され、さらに共産党から権利制限処分を受け、さらに除籍処分がなされ、期待権は侵害されたとしている。 

これについて、共産党側は、東郷ゆう子氏が「権利制限措置に対して無効確認訴訟を提示し、権利制限措置を違法として損害賠償請求をしている事実が、党の規約に基づく調査を否定する態度であり、もはや結社の構成員としての資格に違背するものであって党員としての資格を明白に失っている」としている。

「裁判を受ける権利」(憲法第32条)が、「結社の自由」(憲法第15条)に優るのか劣るのか?
その判決も注目される。

 


【3】党中央に地区委員会決定への使用者責任は適用されるのか

東郷氏らは今回の裁判で日本共産党の中央委員会も訴訟の相手としている。それは民法715条の使用者責任の類推である。
東郷氏側はこう主張する。

 

共産党のやうに、「革命」を遂行する積極的な事業目的を掲げる団体においては、事業性が認められ、被告らの組織の上下関係の一体性から、使用者と被使用者との関係と同様の支配・従属関係も認められるので、当然に暴対法の類推適用によつて民法第 715 条の使用者責任の類推適用がなされるのである


しかし、共産党の中央委員会はこう言う。

 

中央委員会と灘・東灘・中央地区委員会、兵庫県委員会との関係は、全国組織と兵庫県における組織および神戸市灘区・東灘区・中央区におけるという組織であって、使用者・被用者の関係ではない。除籍措置は、党規約に基づき地区委員会の独自の権限で行い、県委員会は党規約に基づきその権限として承認したもので、中央委員会とは独立してそれぞれの権限で行われたものである」としている。「中央委員会に対する請求は根拠法令がなく、主張自体失当である

 

(日本共産党兵庫県委員会)

 


東郷氏側の弁護士は、共産党を公安調査庁により「調査対象団体」にされいるからこうなるとか、日本共産党は「ヤクザながらの規律をもつ」とかいろいろ余計なことを書いている。それらは、裁判官の心証上どうなのかという危惧はある。
できれば、この弁護士を別の弁護士に代えた方がいいのではないかという気もする。

 

しかし、東郷ゆう子氏はこの弁護士に頼んだ理由をパトラとソクラにこう答えたことがある。

 

弁護士の先生を選んだのは本当に単純に家が近いと言うのと「こんな依頼」を受けて下さる弁護士さんが他にいない?からですかね💦

 

木原弁護士が、他でどんな活動をされているか?

 

正直私には全く興味がありません。

 

反ワクチンとか、児相問題とかかなー?くらいです。ただ、私の依頼である灘民商への労働裁判と、黒幕である地元市議(味口市議)へきちんと責任を取らせてさえもらえれば!と、考えています。

今、率直に私の気持ちとしては木原先生に頼んで良かった!と思っています。

 

共産党を訴える!となった時、自分だけでなく家族への危険も考えました。

 

ブログにもかきましたが、地域にはたくさんの党員や民商会員がいます。いつも誰かに見張られて、ありもしない噂を流され、この地域で住みにくくなった人をたくさんみました。

 

木原先生は、自称しているように「政治家弁護士」として、街宣やビラでその共産党の手口を知らせてくれています。

だから私は今日も平和に家で家族と過ごしています。確かに、先生方の暴走?だなーと感じる部分もありますが何しろこんな金欠なただの主婦の弁護を引き受けて下さり、極力出費を抑える努力もして下さっていますので、そこはご自分の色を出すくらい、いっか😊とスルーしちゃっています。

 

 

 

「黒幕である地元市議」と東鄕さんに言われているのはこの人。

 

(味口としゆき市議)

 

東郷氏側にもいろいろやっかいな事情があり、裁判を担当してくれる手近な人が木原くにや弁護士だったということなのだろう。

木原弁護士が反ワクチン訴訟をしていたり、この裁判で日本共産党とコミンテルンのことを未だに言及することは大目にみないと仕方がないのか?

 

(木原くにや弁護士)


しかし、そういうあれこれをきれいに取り除けば、争点は上記の三つに絞り込まれているように思う。

 

裁判官の明晰な心眼を期待します。