(大山奈々子代議員)

 

1.大山奈々子氏の非常識

 

日本共産党の第29回党大会で神奈川の大山奈々子代議員がこう言ったことが、松竹伸幸氏の除名処分に反対する松竹支持者の間で絶賛されているらしい。
 

松竹氏の除名問題で顕在化した党内民主主義の課題についてです。昨年地方選前に松竹氏の著作が発刊され、その後まもなく彼は除名となりました。私は本を読んでいませんが、何人もの人から『やっぱり共産党は怖い』『除名はだめだ』と言われました。

 

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-01-18/20240118-009.pdf
(『しんぶん「赤旗」』1月18日付より)

 

おいおい、ちょっと待て。

 

私はあえて言いたい、約800人の代議員を前にして堂々と発言するなら、

 

『シン・日本共産党宣言』くらい読め!

 

と。

 

著書を読んでもないのに、有権者から「怖い」と言われるなんて発言するから、田村智子氏に「出版より『除名処分を行ったことが問題』という発言者の姿勢に根本的な問題がある」なんて、のたまわれたりするのです。

 

もう一度言う。

 

『シン・日本共産党宣言』くらい読め!

 

できれば、

 

『不破哲三氏への手紙』も読め!

 

と、まず一つめの松竹支持者の常識に異を唱えておきます。

 

 

2.松竹支持の代議員数を微分計算するな!

 

次の問題はこれです。

 

 

 

 

これは考える前提が間違っているのではないでしょうか。

この人は、下のリンクの統計計算から比例代表の場合の1%の議席を得るには10%の得票率が必要という数式に依っているようです。

 

 

 

 

しかし、共産党の代議員の選び方はそもそもそういう原理ではありません。

 

党支部で一級上の党機関に関する代議員や役員を選挙する。
※「立候補」も認められているが、代議員や役員の候補は党機関執行部があらかじめリスト化し、選挙ではこのリストに◯付けする信任投票となっている。

 

 

中国共産党の代議員選びと類似なのです。

 

政治学者の中北浩爾氏はこう述べています。

 

日本共産党の党首の選び方の特徴は、支部→地区→都道府県→党大会→中央委員会という多段階の間接選挙だけでなく、規約13条に「指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する」とあるように、前執行部による推薦制がとられていることです。
 立候補が一応認められているとはいえ、推薦名簿に基づく信任投票しか事実上、行われず、自由な選挙が実施されていません。
 なぜこんなトップダウンの仕組みを採用しているかというと、「革命」を起こすため。ソ連とコミンテルンに由来する民主集中制ですね。でも、そもそも日本共産党に革命を起こす見通しなんて、あるのか疑問です。

 

 

 

 

日本共産党の代議員選びは比例代表制ではないのです。

 

これを昨日の記者会見でも、松竹伸幸氏は「微分が得意な人によると29%くらいが私を支持している」とか「立候補した人もそれくらいの支持率だった」とか言っていました。

 

それは大きな勘違いです。

そういうことでは解にたどりつかないのです。

 

では、今回の保留6人という数はどういう意味を持っているのでしょうか?

 

公安警察の情報しかないので申し訳ないのですが、全国の支部の数は、第26回党大会を例にすると、

 

党員拡大では、全支部(2万 1,000 支部)が必ず新入党員を獲得することを、読者拡大では、全都道府県、全地区(315 地区委員会)が、毎月、日刊紙と日曜版の読者を着実に増やすことをそれぞれ目標としていました

 

○警察庁「公安情勢」より

https://www.npa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten280/pdf/p15.pdf

 

ということです。

支部は21000、地区委員会は315、今回の代議員は約800。

 

つまり、こういうことになります。

    

レイヤー(階層) 代議員(候補)数 保留・反対数
全国支部数 21,000 21,000 X
地区党会議数 315 800 6(0.75%)
都道府県党会議数 47 800 6(0.75%)

 

最初から代議員数は800と決まっているので、地区党会議でも都道府県党会議でも同じなのです。

 

あらかじめリストにない立候補者は、予定代議員数を上回ることになるので、投票するのでしょう。
その支持数がたまたま30%くらいだった会議がいくつかあったということでしょう。
 
問題は、最初の21,000支部のうちどれくらいが松竹支持だったのかということです。
そもそも最初からその支部に代議員を割り当てられていたかどうかという問題です。
 
もし仮に党大会と同じ0.075%だったのなら157支部になります。
これらがすべてレイヤーをすり抜けて党大会に進んできたとしたら、800人のうち157人が代議員になっていた可能性があります。比率は19.6%です。
しかし、21,000支部のうち6支部だけが保留・反対だった可能性もあります。
その比率は、0.028%です。
 
実際にはそんなことないでしょう。
だって、今回の代議員選びでは、江戸時代のような「『松竹除名』踏み絵」政策が実施されていたのですから。
 
比例代表制でないので、松竹支持・不支持の代議員数を数式で計算するのは無理なのです。
 
党首公選制を実施するか、全党員アンケート調査を行わない限り、松竹支持の比率を知ることは実際にはできないのです。
 
そう考えると、大山奈々子氏が代議員に選ばれたのは、松竹氏の著書を読まなかった(もしくは読まなかったことにした)ことが理由だと思われます。
 
なにしろ江戸時代のしくみの政党なんですから。
 
本当にご愁傷様なことです。