小さな頃からずっと「うちにはお金がない」「うちはよそとは違う」「貧乏だ」と毎日のように言われ続けてきました。
そして、母が出かける時に、私に「お父さんにお金がないから置いていくように言って」と言われます。
子供ながらに、父にそのような事を言うのはとても嫌でしたが、「しょうがないでしょう、お金がないんだから」と命じられて、そんな事を言わされておりました。
母が買い物から戻り、野菜を見て「何これ、傷んでいるじゃない」と一人で怒り出す事があります。それを聞くと憂うつになります。
「あそこの八百屋に行って、傷んでいたから替えてと言ってきなさい」と言われます。
愛想の悪い八百屋に、みすぼらしい格好の小学生が来て、「キャベツが傷んでいたので替えて下さい」などと言えば、返事もしてくれません。
黙って立っていると、乱暴に新しいキャベツを渡されましたが、とてもみじめな気持ちで家に戻りました。
夏休みに映画に連れて行ってもらえました。
学校推薦の安いチケットで観ることができる「像のハナコ」と言う映画でした。
とても楽しみにしており、母と幼稚園生の妹と三人で行きました。
内容は本当に可哀想なもので、いよいよクライマックスの頃に妹が「トイレに行きたい」と言い出しました。
母は「だからさっき行きなさいって言ったでしょう」と怒りだします。
妹はトイレに行きたいのに母は怒ったまま動こうとしません。
私が連れて行かねばならないのだと、妹を連れて外に出ました。
戻ってきた時には照明がついて、ドアが開いていました。
母に「連れて行ってあげて」と言われなくても、悲しくても見届けたい映画のクライマックスを観ずに妹をトイレに連れて行くのが私が果たさねばならない仕事でした。
