長くこの時期は実家の両親と娘である私たち家族で食事の席を設けておりました。
8月生まれの父の誕生日を祝う為です。
お店は実家の近くの蟹料理の店と決まっておりました。
自分の誕生日に皆が集まり、大好きな料理を戴けて父も嬉しそうにしてくれました。
最後の集まりになった時、着席するかしないうちに妹や私に何度も「ありがとう」を繰り返し、なぜか自分が出生した時に記念写真を私に預けました。
あの時からお別れの準備をしていたのかもしれません。
今年はどうしようかと悩みましたが、母をケアハウスまで迎えに行き、またこの店で食事をしました。
来年は難しいかもしれないと頭をよぎったからです。
衣類がほしいと母が言っていたので、食事を終えて母が着るような物を置いてある店へ。
止めるのも聞かず、高さのある枕まで買い込む母。
大荷物をかかえ、ケアハウス近くまで戻り、雨が続くはずのこの先にそなえスーパーで食品を購入。
妹も荷物を持ちながら母に付き添い、私はロバのように大荷物をかかえ、先頭を歩き、道案内。
父を懐かしむ食事をして、母が希望していた洋品雑貨、食品を購入し、やっとケアハウスに戻りました。
私としては充実した一日でした。
しかし、戻った途端に「暑い、暑い」「痛い(足腰が)」「疲れた」を5分も繰り返す母。
いつもの事ですが。
冷たいお茶を出しても、飲みながらまだ言い続ける母。
妹は治療中の身。
私だってこう見えて要介護の夫の世話をしながら、夫を留守番させて来た60過ぎ身。
妹も私も、この暑い中早朝から片道1時間かけて来たのです。
朝の4時にはLINEで連絡を取り合っておりました。
いくら86歳とは言え、この文句を聞き流すのがベストなのでしょうか。
妹がトイレに立った隙に
「妹は治療中にも関わらず、週に二回の仕事を始め、大変だから今日は来ないでいいと私は言った。しかし、お母さんは杖があるから日傘がさせないので帽子を渡したいと言って無理して来た。暑いのは皆同じだけど、お母さんが困らないようにこうやって来ているのに、延々と文句を言ったら、妹だって何しに来たのかとがっかりするでしょう」と言いました。
言っている事の本筋がわかったかどうかは不明ですが、私が怒っているとは感じたかもしれません。
ちなみに、母は認知症ではなく性格に大きな問題があるだけです。
妹が戻り、「じゃあ、帰ろう」となった時から、エレベーターに乗るまで、母はずっと妹に
「ありがとう。気をつけて」と繰り返していました、妹にだけ。
夜には妹に電話があり、また「ありがとう」と言っていたそうです。
「いつも言わないありがとうを言われて、驚いた」とLINEが来ました。
さらに「私が動けるうちは、もっとお母さんの方に行くから、家の事やったり、少し休んで」と言われました。
「動けるうち、じゃないでしょう。この病気は数年かけて、すっかり過去形にしていこう」と本気で返信しました。