短頭種気道症候群① | パティ動物病院

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パティ動物病院のオフィシャルブログです。
院長の見津が、病院の情報や飼い主の皆さんに役立つ情報やつぶやきを発信します。

ここ数日は涼しい日が続いていましたが、

猛暑となる日が増えてきました。晴れ

短頭種のわんちゃんには

厳しい季節になってきました。あせる

 

当院は短頭種犬の治療に

力を入れています。

今回からは、

特に問い合わせの多い

短頭種の呼吸の問題

「短頭種気道症候群」について

何回かに分けて話していきましょう。

 

短頭種とは鼻が短い犬種、

つまりイングリッシュブルドッグや

フレンチブルドッグ、

ボストンテリア、パグといった

犬種のことを指します。

定義から言えば、

シー・ズー、ペキニーズ、

キャバリア、チワワ、ポメラニアン

なども含まれますが、

呼吸の問題が特に出やすいのは、

ブルドッグ系やパグです。パグ

 

下のURLは当院のホームページの記事です。

http://www.pati-clinic.com/dog2/detail/detailG000000032_12.html#B000000347

 

呼吸の問題が出る主な理由は

①    鼻の穴が狭い

②    軟口蓋と呼ばれる部位が

長く気道を塞いでしまう

という事に起因しています。

※ちなみにブルドッグ系は軟口蓋が

  長いだけでなくぶ厚いため

  より気道を塞ぎやすくなっています。

 

犬は本来鼻呼吸する生き物です。

鼻が狭いとどのくらい苦しいか

簡単に体験できます。

皆さん自分の鼻を

鼻の穴が完全に塞がらないようにして

つまんでみて鼻呼吸してみてください。

かなり吸いづらい、

もしくは吸うのに時間がかかるかと思います。チーン

これは鼻の孔での

気道抵抗(空気の通りにくさ)が

上昇したからです。

 

気道抵抗は気道の半径の4乗に反比例するため

断面積(気道の広さ)が大きくなると、

気道抵抗は減少します。

つまり鼻の穴の半径を半分にすると

16倍空気が吸いにくくなるという事です。

 

短頭種はそれ以外の犬の

鼻の穴を比べると

常に鼻をつまんで生活していると

言っても過言ではありません。

 

軟口蓋はとてもぶにぶにした組織です。

 

軟口蓋が気道を

塞いでいる状態というのは

喉に親指大くらいのこんにゃくゼリーが

転がっている状態を想像してもらえば

よいかと思います。

こちらも気道の半径を小さくするので

空気を吸いにくくなります。

 

 

短頭種気道症候群は

生まれつきの解剖学的特徴に

起因しますが、

この状態は

単純に呼吸しにくいだけでなく

色んな事を引き起こします。

 

次回は短頭種気道症候群が

身体にどのような影響を

及ぼすか説明していきます。