今回は血小板について話していきます。
以前にも話したように
CBC検査では赤血球、白血球、血小板の
数が計測されます。
血小板は血液凝固に関係します。
血管が傷つくとその部分に集まって
トリモチのように張り付き、
血液の凝固を促進する成分を
放出します。
数が少なくなると出血のリスクが高くなります。
PLTからPCTまでが
血小板に関係する数値です。
検査機器によっては
PLTのみのものもあります。
赤血球や白血球に比べると
項目が少ないですね。
まずはいつものように
項目ごとに簡単に説明します。
PLT:血小板数
血液マイクロリットル当たりの
血小板数。
MPV:平均血小板容積
血小板一つの平均的な大きさ。
PDW:血小板分布幅
血小板の大きさのばらつきの幅。
PCT:血小板クリット値
血液中に含まれる血小板の
割合。
血小板は血小板同士でくっついて
凝集する性質があります。
採血や採血後の処理が
スムーズにいかないと凝集してしまい、
機器での検査で数が低く出ることがあります。
特に猫は血小板が凝集しやすく、
低く出やすい傾向があります。
測定値が極端に多かったり少ない場合には、
血液塗抹を顕微鏡で直接確認する必要が
あります。
血小板は多すぎても少なすぎても
問題になりますが、
数が少なすぎて問題になることの方が
多いです。
5万/μlを下回ると、
外科や外傷での出血傾向が見られます。
3万/μlを下回ると自然出血を起こすと
言われ紫斑と呼ばれる内出血が見られたりします。
このような状態では、命の危険があります。
また、強い炎症を起こすような病気があり、
血小板の急激な低下が見られると、
播種性血管内凝固(DIC)と呼ばれる
危険な状態になり
血液凝固機能が低下している可能性があります。
※DICは極めて重要な病態なので、
別の機会に改めてお話しします。
ちなみに、グレーハウンド系や秋田犬では
血小板数がもともと少ないことがあります。
原因ははっきりしていませんが犬種による
もののようです。
興奮や炎症、鉄欠乏貧血や、
出血時、血液腫瘍では
血小板数が多くなることがあります。
血液腫瘍以外では、
基礎疾患の治療により
落ち着いてきます。
通常は軽度の数値の変化では、
体調そのものに大きな影響を
出さないことが多いです。
まとめると、
基本的に飼い主の皆様に
見ていただきたい点は
血小板が少なくないかどうかです。
血液塗抹を実施して
実際に10万/μlを下回るくらい
少ない場合は、
原因を探るもしくは早急に治療に
入ることになります。
CBCは比較的検査として
行われる頻度が多い検査です。
赤血球に関しては、
主に貧血があるかどうかや、
貧血があった場合はその進行速度、
原因の模索に注目してください。
白血球は他の検査と合わせて、
炎症があるかどうか、
炎症があるかどうかの獣医師の解釈、
治療に反応しているかどうかに
特に注目してください。
血小板は、
数が減ってないか、
急激な数の変動が無いか、
数の異常がある場合は
血液塗抹での確認の結果
に注目しましょう。