医薬品特許とデータ保護 | 弁理士Hの気まぐれメモ

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カモノハシのイコちゃんをこよなく愛する38歳弁理士♂が、日頃の仕事で知り得た情報でメモっておこうと思ったことや、思ったことをとりとめもなく発信します。

米国の医薬品特許をしていると、「ハッチ・ワックスマン法」なんてものをちらほら目にします。「ハッチ・ワックスマン法」とは、先発医薬品と後発医薬品のバランスを取るために制定された法律です。

これは、民主党のワックスマン下院議員と共和党のハッチ上院議員が中心になって、「特許期間回復法案」と「薬品価格競争法案」をセットにした法案が作成されました。最終的に「米国特許法改正法案」に組み入れられ、1984年9月24日、ハッチ・ワックスマン法「1984年 薬品価格競争及び特許期間回復法」が制定されたものです。

特許期間延長制度は、特許法第156条に規定され、医薬品の特許の場合、
「(IND届日からNDA申請日までの期間)×1/2+(NDA申請日から承認日までの期間)」
の延長期間が5年以下の範囲で許可されるものです。

※IND:Investigational New Drug、新薬臨床試験開始届(治験届)、
 NDA:New Drug Application、新薬申請

この期間延長の計算は、日本や欧州の制度とは異なるので、注意が必要です。

○簡易新薬申請
ANDA(Abbreviated New Drug Application;簡略新薬申請)制度は、食品・医薬品・化粧品法 第505条(j)(21U.S.C.A.§355)に規定され、先発の新薬メーカーにはオレンジブックに特許情報を提出し公開する義務を、後発医薬品メーカーにはANDA申請時にオレンジブック掲載の新薬メーカーの特許に対して特許証明書(以下の4項目に分類)を添付する義務を定めたものです。

Paragraph Ⅰ:特許情報なし、
Paragraph Ⅱ:特許は既に満了、
Paragraph Ⅲ:特許満了日を明示して満了後に発売することを意思表示する、
Paragraph Ⅳ:特許は無効か又は申請品は特許を侵害しない。

後発品メーカーが積極的に特許侵害をしていないことを明記する必要があり、また先発メーカーは特許情報を積極的に提供する義務があります。

○臨床試験のデータ保護
時々、臨床試験で得られたデータは保護されるのか、が問題となります。

欧米では、新薬製造承認手続きにおける臨床、毒性等のデータは、新薬メーカーが長期間を費やして得た知的財産ゆえ、第三者は新薬メーカーの許可がなければ一定期間そのデータを利用不可との考え方に基づき、そのデータに対し一定期間の保護(「Data Exclusivity」)を与えています。

一方、日本では、「Data Exclusivity」制度に相当するものとして、「製造承認後の再審査期間」制度があります(趣旨は安全性担保のためのものですが)。

欧州は新薬承認後8年間、米国は新薬承認後5年(ジェネリックの申請は新薬承認4年後から可能)のデータ保護期間が認められています。日本では、通常6年の再審査期間、効能追加の場合は4年の再審査期間が認められています。

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