特許の成果 | 弁理士Hの気まぐれメモ

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カモノハシのイコちゃんをこよなく愛する38歳弁理士♂が、日頃の仕事で知り得た情報でメモっておこうと思ったことや、思ったことをとりとめもなく発信します。

特許の仕事をしていると、仕事を行う時点と、成果が出る時点との時間差が大きすぎて、そんなにやりがいをビビッドに感じないと思うことがあります。

その中で、思い出話でも。

昔いた会社で、開発化合物の用法用量特許出願をしていました。その化合物は当時そんなに注目されていたわけではなく、わりと窓際族めいた化合物でした。

それでも、外部の病院と共同研究があり、新規性なさそうだけど、とりあえず学会発表するみたいだから特許出しとこうか、めいたノリで出願をした記憶があります。その時に開発にいた後輩Aくんがとても感じが良かったなあとかも。

で、最近「コアベータ」が承認されたというニュースを知り、懐かしいな、と思うわけです。

http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n11_0914_1.pdf

これは、発売当初年に1億くらいしか売れなかった製品「オノアクト」の効能追加にあたり、入り目が異なること等の理由から商品名も変えたようです(既に関係者ではないから憶測)。

主成分である「塩酸ランジオロール」はめちゃくちゃ半減期が短い(1分とか3分とか)βブロッカーで、その半減期の短さを逆手に取ったのが、心臓のMSCT(マルチスライスCTスキャン)における心拍低下です。

CTを測定するごくわずかな時間だけ心拍数を抑えて、画像のブレを防ぎ、その結果得られる像を鮮明化するとのことです。半減期が短いから、患者さんに徐脈などの副作用があってもすぐに消失する、またこれまでは経口のβブロッカーを患者さんに投与していたので、いつ効果が出るか分からないなどの問題があったところ、静注なのですぐに効果が出る、などいいとこずくめだとか(うろ覚え)。

非常にニッチな商品ではありますが、これまで保険適用外で使われていたのが、正々堂々と保険適用を受けて使用することができるとのこと。

それにしても、よくこんな用途を思いついたものだなあと、当時某医大にいらしたH先生には本当に頭が下がります。

出願当初はしょぼい明細書で、今会社にいる方(U部長とか)には迷惑かけたと思いますが、無事特許も取れたそうです。感慨深いです。

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