(米国特許出願)限定要求(Restriction Requirement) | 弁理士Hの気まぐれメモ

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カモノハシのイコちゃんをこよなく愛する38歳弁理士♂が、日頃の仕事で知り得た情報でメモっておこうと思ったことや、思ったことをとりとめもなく発信します。

米国で実体審査に入る前によくもらうのが、Restriction Requirement(限定要求)です。

最初はなんのこっちゃ?でしたし、今でも完璧に説明できるほど理解していないので、自分のためにメモを書いておきます。

限定要求には、広義の限定要求と、狭義の限定要求があります。

広義の限定要求は、狭義の限定要求と、選択要求(Election Requirement)を含みます。

[1]広義の限定要求
限定要求(121条)は、複数のクレーム発明が、その特許性の審査結果にかかわらず単一性に違反している場合に、審査対象の発明を一つの独立した発明に限定することで審査促進を図ることを目的としています。

限定要求は、(1)これらの発明が相互に独立した発明である場合、または(2)これらの発明が相互に区別可能な発明であり、かつ(3)これらすべての発明を審査することが審査官にとって過大な負担となる場合に、限定要求が発せられます(MPEP803)。

通常は、実体的な拒絶理由の前に発せられますが、法律上は最終拒絶通知の前であればいつでも発することができます。

[1-1]狭義の限定要求
狭義の限定要求は、審査官が(ある意味一方的に)クレームを複数のグループ(例えば、物、使用方法、製造方法、中間体など)に分け、それらのうちどのグループの審査を求めますか?と聞いてきます。

それに対して、「じゃあグループ1にする!」と回答するのです。

その回答に従って、審査官が審査を行い、特許性を認めた場合にはめでたく特許査定。認められない場合には、拒絶理由通知が来ると。

[1-2]選択要求(Election of Species Requirement)
広義の限定要求には選択要求が含まれます。選択要求とは、一出願に一つの属(generic)クレームとそれに包含される複数の種(species)とが含まれている場合に、属クレームが許可されないときに備えて審査官が出願人に対して種を選択(elect)するよう要求することです(37 CFR 1.146)。また、合理的な数以上の種を含む場合には、審査官は選択要求を行う前に合理的な数の種をクレームするよう要求できます(37 CFR 1.146)。

平たく言うと、属(generic)とは、ある実施例をカバーする広い概念の請求項、種(species)とは、そのgenericクレームに含まれる一つの実施例を指します。分かりにくい説明ですみません。


[2]限定要求が出された場合の対処
いろんなやり方があるでしょうが、とりあえずこんな感じでどうでしょう(投げやりやなー)
(1)まず、審査官の認定が正しいかを検討します。
基本的には、審査官の意向に従うのですが、ときおり??となる分け方もあります。確認のため、フォローしておいた方がよろしいかと。

(2)一つのグループを選択する
反論する場合であれ、しない場合であれ、必ず一つのグループを選択します。非選択グループについて、同時に特許取得を求める場合には、withdrawするとともに、選択されたクレームの構成要件を全て含む形式に書き換えるか、選択されたクレームを引用するように書き換える(限定要求時の応答時に行わなければ、再併合が認められないことがあります)。従って、withdrawするクレームであっても、補正をこの時点で行う必要があります。

(3)反論について
明らかに審査官の認定がおかしい場合には反論(traverse)することもできますが、一部のクレームに特許性が認められない場合に他のクレームも共倒れになってしまう可能性があるので、あまり得策ではないといわれます。

(4)cancelとwithdrawの違いについて
例えば、物のクレームを選択し、方法のクレームを物のクレームに従属するようにしておくと、審査官がNotice of Allowanceにおいて、選択しなかったクレーム(Withdrawn claim)をクレームに再度組み込んでくれます。Withdrawn Claimは再併合の可能性がある点で、その出願での権利取得を放棄したCanceled claimとは異なると言えます。


※米国の限定要求は、まだまだ勉強しなければいけないことが多いです。また気が付いたら加筆します。


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