米国仮出願/CIP出願に基づく優先権主張の取扱い | 弁理士Hの気まぐれメモ

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カモノハシのイコちゃんをこよなく愛する38歳弁理士♂が、日頃の仕事で知り得た情報でメモっておこうと思ったことや、思ったことをとりとめもなく発信します。

超細かい話ですが、米国仮出願が日本における出願の優先権の基礎になるか、です。

以下、特許庁の資料から。

まず、基本的には、優先権主張の基礎となるのは「正規の国内出願」であり「最初の出願」である必要があります。以下、引用。

2.3 優先権主張の基礎とすることができる出願
(1) 正規の出願であること
パリ条約において優先権主張の基礎とすることができるとされている、いずれかの同盟国で正規にされた出願とは、各同盟国の国内法令による出願又は同盟国間で締結された二国間又は多数国間の条約によって正規の国内出願とされる出願であって、出願をした日付を確定するために十分な(出願日確立の要件を満たした)出願であり、結果のいかんは問わない。したがって、特許出願後に取り下げられ、放棄され、又は拒絶の査定を受けた出願であっても、優先権主張の基礎とすることができる(パリ条約4条A(3))。

(2) 最初の出願であること
パリ条約による優先権主張の基礎とすることができるのは、パリ条約の同盟国における最初の出願のみである(4条C(2))。これは、最初の出願 に記載された発明について再度(すなわち累積的に)優先権を認めると、実質的に優先期間を延長することとなるからである。
ただし、同一対象について同一の同盟国に二つの出願がされた場合でも、先の特許出願が、公衆の閲覧に付されず、いかなる権利をも存続 させないで、後の特許出願の日までに取り下げられ、放棄され、又は拒絶の査定を受け、かつ、優先権主張の基礎とされなかったときには、後の出願が最初の出願とみなされる(4条C(4))。


で、本題。仕事で調べることになったので、残しておきます。

6.4.3 米国等における仮出願に基づく優先権主張の取扱い

パリ条約において優先権主張の基礎とすることができる出願は、各同盟国の国内法令によって正規の国内 出願とされる出願である(同第4条A(2)及び(3))。米国、英国及びオーストラリアにおける仮出願(provisional application, provisional specification)制度における仮出願は、当該国において正規な国内出願とされていることから、優先権主張の基礎とすることができる。


ということで、米国仮出願も正式な国内出願であるから、日本における国内出願の優先権の基礎とすることができるようです。同様に、米国仮出願を基に日本でPCT出願ができるか、についても、可能です。



ついでに、米国のCIP出願を優先権の基礎にできるかについても引用しておきます(引用ばかりでごめんなさい)。

6.4.2 米国における一部継続出願に基づく優先権主張の取扱い

優先権主張の基礎とすることができるのはパリ条約の同盟国における最初の出願のみなので(パリ条約4条C(2))、米国における一部継続(CIP: continuation-in-part)出願を基礎として優先権を主張し、日本出願がされている場合には、一部継続出願の出願書類の全体に記載された事項のうち、その原出願の出願書類の全体に記載されている事項については優先権の主張の効果は認められない。

とのことです。まぁ、「最先の出願である」という趣旨を考えたら、当たり前と言えばそうなんですが。