昨日、5月28日に電子情報通信学会(略称はIEICE)が主宰し、大槻知明 慶應義塾大学教授が講演した「スマートヘルスケア最前線 ~生体信号検出から認知症検出まで~」というオンライン講演を聴講いたしました。

 

以下、伊達木隆調査理事の紹介文を転載いたします。

 

大槻知明先生は、無線通信、医用工学,データサイエンスなど幅広い技術分野の専門家として活躍されてきました。またIEICEのフェローを授与されており分野を代表する研究者です。

 

今回、講演題目となっているスマートヘルスケアに関連した研究についても、AI/ML技術、通信やレーダ技術を応用した人情報のセンシング、信号処理技術など、様々な研究業績を発表されております。本講演では、これまでの技術・研究についてご紹介いただくとともに未来に向けた技術の方向性等を含めた、過去・現在・未来についてご講演いただく予定です。

 

この講演では、周波数24ギガヘルツのミリ波レーダーを使って、心拍などの情報を得る研究成果などを紹介いたしました。心拍などの信号は人工知能を使って再構成しているのですが、この人工知能は畳み込みニューラルネットワークを基盤として機械学習したモデルになります。

 

心拍に関する情報を得るためには、センシングそのものより、人工知能を使った信号処理がポイントになります。

 

この講演で紹介した実験では、屋内でFMCWレーダーを使っています。そうすると、レーダーから対象者までの距離は、必然的に部屋のサイズより小さくなり、1メートル前後から、3メートル、5メートル前後でしょうか。

 

ここで、FMCWレーダーとは、frequency modulated continuous wave レーダー、即ち、周波数変調連続波レーダーを意味いたします。

 

ところで、軍事レーダーは、典型的には、パルス2周波レーダーが用いられ、対象までの距離は100キロ、1000キロ、1万キロであったりします。例えば、ハワイに設置された軍事レーダーから米国本土西海岸の野球場で投手が投げたボールが、直球かカーブか識別することもできます。

 

テレビで野球中継を視聴いたしますと、投手が投げたボールの球速が表示されますが、野球場の内部に設置されたレーダーが球速を計測しています。野球場から遥か彼方にある軍事レーダを使っても同様のことが可能ということです。