今回は、「外国出願の禁止」というブログ記事の続きになります。

 

 

 

 

最初の外国出願が禁止される技術分野に、「例えばレーザ兵器、電磁パルス(EMP)弾のような新たな攻撃又は防御技術」があります。

 

そこで、今回は電磁パルスについて解説いたします。

 

「電磁パルス」という用語は、electromagnetic pulseの訳語になりますが、赤外線パルス、マイクロ波パルスなどが典型例になります。赤外線レーザーから赤外線パルスを照射することができますし、マイクロ波レーダーからマイクロ波パルスを照射することもできます。

 

電磁パルスの特徴は、時間平均出力はそれほど大きくなくても、パルス照射中の出力は極めて大きく設定することができる点にあります。

 

マイクロ波レーダーに、マイクロ波パルスが使われているのですが、21世紀の技術水準では、パルス幅が1マイクロ秒に設定するのは容易です。

 

ここで、時間平均出力について、エネルギーで1ジュールの場合に限定して考えます。1ジュールは0.239カロリーに相当するので、1グラムの水を0.239℃加熱することができます。

 

マイクロ波が連続波のときには、1ワットの出力で1秒間、連続して照射したときには、時間平均出力は1ワットになり、エネルギーは1ジュールになります。

 

次に、マイクロ波がパルス幅1マイクロ秒のパルスのときを考えます。1マイクロ秒というパルス照射時間は100万ワットの出力であり、パルス照射直後の999999マイクロ秒は全くマイクロ波を照射しないとき、エネルギーは1ジュールになります。

 

パルスを照射している1マイクロ秒と、パルスを照射していない999999マイクロ秒を加算したときには、100万マイクロ秒になりますが、100万マイクロ秒は1秒と同一です。

 

マイクロ波を人体に照射するときに、出力1ワットで1秒間、連続して照射する場合と、出力100万ワットで1マイクロ秒という極めて短い時間だけ照射し、かつ、999999マイクロ秒は照射しない場合とを比較すると、エネルギーは1ジュールで同一ですし、時間平均出力も1ワットで同一ですが、人体に与える影響は同一でしょうかね。

 

出力100万ワットでパルス幅1マイクロ秒というようなマイクロ波パルスが、電磁パルスの例示になります。

 

次に、赤外線レーザーで考えます。赤外線レーザーでは、フェムト秒レーザーが既に開発されています。フェムト秒レーザーでは、赤外線パルスのパルス幅が、1フェムト秒から999フェムト秒の範囲になります。

 

単位の接頭語は、ミリ、マイクロ、ナノ、フェムトとなっているのですが、1フェムト秒は、1マイクロ秒の100万分の1であり、1秒の1兆分の1になります。

 

更に、赤外線がパルス幅1フェムト秒のパルスのときを考えます。1フェムト秒というパルス照射時間は1兆ワットの出力であり、9999億9999万9999フェムト秒は全く赤外線を照射しないとき、エネルギーは1ジュールになりますし、時間平均出力は1ワットになります。

 

出力1兆ワットでパルス幅1フェムト秒というような赤外線パルスが、電磁パルスの例示になります。

 

このブログでは気楽に1兆ワットという数字を記載いたしましたが、現実に出力1兆ワットの赤外線レーザーを空気中で照射いたしますと、空気中に含まれる窒素分子、酸素分子などが電離してプラズマが生成します。パルス幅が1フェムト秒のように短いときであっても、プラズマは生成します。

 

プラズマといっても、一般人に馴染みがないかもしれませんが、天然のプラズマは電離層になりますし、オーロラは天然のプラズマにより発光しています。

 

地球の大気の上層部に電離層がありますが、電離層では、気体分子は電離してプラズマになっています。電離層は上空100キロ前後から800キロ前後であり、太陽光が照射されている時間帯では上空60キロ前後以上で気体分子は電離してプラズマになっています。

 

プラズマが生成するか否かという観点では、電離層のように気圧が極めて低いときであってもプラズマは生成しますし、フェムト秒レーザーを使えば、1気圧前後であってもプラズマは生成します。

 

また、空気は絶縁体ですが、プラズマは導電体になります。