この連休中に蔵本由紀京都大学名誉教授が集英社新書から発行した「非線形科学 同期する世界」を読んでいるのですが、同期する世界に魅了されています。

 

 

 

 

同期に関する最初の報告は、アイザック・ニュートンと同時代のオランダ人科学者ホイヘンスにまだ遡ります。ホイヘンスはホイヘンスの原理で有名ですし、光の波動説を提唱しています。

さて、同期に戻りますが、ホイヘンスは、壁に固定された2つの振り子時計が同じタイミングで左右に振れる現象を報告しています。

 

最近では、YouTubeに多数のメトロノームが同じタイミングで触れる映像がアップロードされていますが、これも同期の例になります。

 

同期は、自然、社会、生物で観察される物理現象でもあります。

 

自然で観察される同期としては、多数のホタルの発光タイミングが揃う現象やカエルの合唱があります。

 

社会で観察される同期としては、橋の揺れや電力ネットワークなどがあります。

 

生物で観察される同期としては、体内時計、心臓の鼓動などがあります。

 

このように多種多様な学術領域で同期があるのですが、数式で表現したときには、同じ数式で表現できます。

 

ところで、本書の著者である蔵本由紀先生は、河村洋史氏と共著で「同期現象の科学 位相記述によるアプローチ」を京都大学学術出版会から2017年に上梓しているのですが、こちらは微分方程式などの数式が満載であり、専門知識がないと読みこなせないでしょうね。

 

 

 

 

一方、集英社新書から出版された「非線形科学 同期する世界」は通常の日本語で同期について解説していて、実に分かりやすい。本書で数式はほとんど記載されておらず、微分方程式となると、全く記載されていません。

 

本書を精査すると、蔵本モデルを表現する数式が一つだけ記載されています。

 

i=1, 2, …N

j=1, 2, …N

 

N個の振動子があるときに、これらの振動子が集団振動するか否かを判断する数学モデルがこの数式です。

振動子iの周波数がωiであり、位相がθiになります。一方、振動子jの位相がθjになります。