昨日、2月7日、水曜日に中央知的財産研究所が主催する第15回研究発表会がオンライン開催されたので、オンライン出席いたしました。

 

ここで、中央知的財産研究所は日本弁理士会の附属機関になります。この研究発表会は、日本弁理士会の会員、即ち、弁理士が聴講することができます。

 

竹中 俊子ワシントン大学ロースクール 慶應義塾大学大学院法務研究科教授は、中央知的財産研究所の研究員に就任しているのですが、上記の研究発表会で「DX時代の消尽理論 ―消尽回避使用権ライセンス契約の政策整合性―」という素晴らしい演題を発表いたしました。

 

この講演で米国最高裁判決、日本最高裁判決、ドイツ最高裁判決、欧州特許裁判所条約29条における消尽を比較していました。

 

米国及び日本では、製品が販売されたときに、知的財産権は消尽するとされているのに対して、ドイツ特許最高裁判所、統一特許裁判所協定29条では製品が販売されたときではなく、市場に置かれたときに消尽するとされています。

 

ご参考までに、統一特許裁判所協定Agreement on Unified Patent Court 29条を下記に記載いたします。

 

Exhaustion of the rights conferred by a European patent

 

The rights conferred by a European patent shall not extend to acts concerning a product covered by that patent after that product has been placed on the market in the European Union by, or with the consent of, the patent proprietor, unless there are legitimate grounds for the patent proprietor to oppose further commercialisation of the product.

 

この講義では、特許権者が製品の所有権を維持しつつ、貸与することにより、特許権の消尽を回避できるという解釈を紹介なさいました。

 

この講義内容は、今年、2024年に発行される別冊パテント第30号に掲載される予定です。

 

ちなみに、月刊パテント2023年1月号も消尽を特集している旨を申し添えます。