竹内淳早稲田大学教授が、「高校数学でわかるマクスウェル方程式」という書籍を講談社ブルーバックスから上梓した。
「高校数学からわかる」と銘打っているだけのことがあり、本書は実に分かりやすい。なぜ分かりやすいか検討すると、その一因としては大学で講義されるような専門用語がほとんど使われておらず、更に、偏微分方程式が一切、登場しないことにある。
ここで、話題が若干、変わるとともに、我田引水になるのだが、マイクロ波聴覚効果について書籍を執筆するときには、高校レベルの知識で十分に分かるように留意すべきなのかもしれない。
例えば、音響波、圧力波、粗密波、弾性波のような物理学の専門用語が突然、文中に表れても、物理学者でない限り、その異同はよく分からないと想定される。なお、上記の専門用語は概ね同じ意味であるが、文脈によっては若干、意味が異なる。
同様に、聴覚伝導路について説明するときに、第VIII脳神経、視床内側膝状体のような解剖学の専門用語を使ったときには、医学などを専門としていない一般人にはよく分からないことも想定される。例えば、第VIII脳神経より第8脳神経という表記が分かりやすく、聴神経という用語が更に分かりやすい。
そういえば、マイクロ波聴覚効果について説明するときに、音響トランスデューサという専門用語を使ったところ、ある人は音響トランスデューサという専門用語の意味、特にその説明の文脈における意味を誤解して、誤解に基づいてマイクロ波聴覚効果は不可能であるという批判を受けたことがある。
要するに読者に内容を理解していただくためには、文章を分かりやすくことが求められ、具体的には難しい単語は使わないのがよいということになる。