特許法74条1項に基づいて特許権移転登録手続を認めた判決を紹介いたします。

 

大阪地方裁判所令和4年2月28日判決

令和2年(ワ)第7486号 特許権移転登録手続等請求事件

 

即ち、共同出願に違反して特許権の設定登録がされたことを理由として、裁判所は、特許権者の持ち分の半分を共同発明者に移転登録手続するのを容認いたしました。

 

特許法74条1項は下記のように規定しています。

 

特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。

 

ここで、特許法第38条は特許を受ける権利が共有の場合について規定しています。

 

特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。

 

裁判所は発明者について一般的な規範を定めます。

 

発明者とは、自然法則を利用した高度な技術的思想の創作に関与した者、すなわち、当該技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成するための創作に関与した者を指すというべきである。

 

更に裁判所は共同発明者に関する規範について判示いたします。

 

発明者となるためには、一人の者が全ての過程に関与することが必要なわけではなく、共同で関与することでも足りるというべきであるが、複数の者が共同発明者となるためには、課題を解決するための着想及びその具体化の過程において、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与したことを要する。発明の特徴的部分とは、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち、従来技術には見られない部分、すなわち、当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける部分を指すものと解すべきである。