ある日、東京都内の高層ビルにある展望ロビーに行った。

青空が広がり、目の前にクッキリと富士山が見えた。

思わず感動し、手を合わせて拝んだ。

 

そのうちに気が付いたことがある。

 

富士山の標高は3776メートルであり、8合目であっても3250メートルもある。

 

富士山の標高は3000メートルを確実に超えるのにもかかわらず、その展望ロビーから富士山を仰ぎ見るというようなことはなく、ほぼ目の高さに富士山が見える。

 

展望ロビーが高さ3000メートルの位置にある場合、目の高さに富士山が見えるというのは分かる。

 

しかしながら、その高層ビルは到底、3000メートルの高さはない。

 

調べてみると、その高層ビルは高さ124メートルであり、最上階が展望ロビーとなっている。その高層ビルは海抜33メートルの位置にあるので、展望ロビーは海面から高さ150メートル前後の位置にある。

 

そうすると、富士山の標高との高度差となると、下記の計算の通り、約3600メートル、3.6キロになる。

 

3776-150=3626

 

さて、高度差が3600メートルもあるのに、なぜ、目の高さに富士山が見えるのだろうか。

 

その答えのポイントは、高層ビルのある場所と富士山との水平距離にある。

 

例えば、東京タワーから富士山までは直線距離が97キロである。

 

その高層ビルは東京タワーから多少、離れているが、距離が90キロであっても、100キロであっても、誤差の範囲ということで、有効数字一桁として、水平距離100キロで考える。

 

要するに、富士山頂と高層ビルの展望ロビーとは、水平距離で100キロ離れていて、高度差が3.6キロある。

 

比例で考えると、水平距離で100cm、即ち、1メートル、高度差で3.6cmと同様である。

 

ところで、水平距離で1メートル離れた位置にある対象を見るときを考える。対象の高さが目の高さより3.6cm、高くても、まぁ、目線と同じではないかな。

 

計算してみると、角度にして約3度前後、上を見るということになるが、ほぼ水平でしょう。

 

次に、仰ぎ見るというイメージを反映した例を考える。

 

水平距離で1メートル離れた位置にある対象を見るとき、その対象が目の高さより1メートル上にあるときを考える。そうすると、仰角で45度になるのだが、この仰角では仰ぎ見るということになるのではないのかな。

 

結論としては、仰角が約3度のとき、仰ぎ見るというよりは、目線の高さということになる。