生体では、大部分のカリウムイオンは細胞内部にあり、血液などの細胞外部にあるカリウムイオンの量は遥かに少ない。個々の細胞は、細胞膜で細胞内と細胞外が区分されているが、細胞膜を貫通しているイオンチャンネルがイオンを輸送する。

 

カリウムチャネルはイオンチャンネルの一種であり、カリウムイオンが選択的に透過することができる。

 

カリウムチャネルとしては、電位依存性カリウムチャネル、カルシウム活性化カリウムチャネル、内向き整流性カリウムチャネル。Two-pore domain カリウムチャネルの4種類に大別される(文献1)。

 

ところで、カリウムチャネルの3次元構造は永年に渡って謎だったが、X線結晶構造解析でカリウムチャネルの3次元構造を初めて解明したロデリック・マッキノンは2003年ノーベル化学賞を受賞している。カリウムチャネルといっても、ストレプトマイシンという放線菌のカリウムチャネルの3次元構造を解明した。

 

自治医科大学医学部の中條浩一教授、東京大学理学部の濡木理教授、木瀬孔明特任准教授などのグループは電位依存性カリウムチャネルの3次元構造をクライオ顕微鏡で解明し、その研究成果は2021年9月に科学雑誌ネイチャーに掲載されている(文献2,3)。

 

文献

1.古谷 和春、倉智 嘉久、カリウムチャネル、脳科学辞典、2013

 

2.制御サブユニットによるイオンチャネル巨大複合体のモジュレーション機構を解明、東京大学、2021年9月23日

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2021/7525/

 

3.Structural basis of gating modulation of Kv4 channel complexes

Nature, Sep. 2021

https://www.nature.com/articles/s41586-021-03935-z