今日、10月20日から国際知財司法シンポジウムが始まりますが、今日、国際知財司法シンポジウムにオンライン出席いたしました。

 

今日のシンポジウムでは、特許侵害訴訟の仮想事例について各国の裁判所が判断しています。

 

原告、特許権者は、位置検出器に関する発明に係る特許を取得している。

 

位置検出器は、本体と交換可能な部品とから構成されているのですが、この交換可能な部品はスタイラスといいます。

 

特許発明は位置検出器という製品を対象とする一方、特許発明の特徴は主に交換可能な部品、スタイラスにあります。即ち、スタイラスの一部が、タングステンカーバイドとニッケルとの合金となっており、更に、この合金について磁性に関する限定があります。

 

被告は、位置検出器を製造、販売しているのですが、被告製品の標準装備では、スタイラスにステンレス鋼を使用しており、タングステンカーバイドは全く使用していません。これをアルファ形態といいます。

 

ところが、被告は、スタイラスの交換部品も製造、販売しており、交換部品のスタイラスでは、その一部にタングステンカーバイドを用いています。これをベータ形態といいます。

 

仮想事例の技術的事項の詳細は大胆に省略しているのですが、事実に関する細部により、権利侵害が成立するか否かが分かれるようになっています。

 

日本の裁判所は、特許法101条1項に定める「のみ」の要件は満たさないと判断しています。

 

また、特許法101条2項に定める間接侵害が成立するか否かも争点となっているのですが、結局、特許法101条2項に定める間接侵害は成立しないとされています。

 

ところが、スタイラスの交換部品の購入者が、位置製造機に交換部品を装着する行為は、特許発明を製造する行為と判断されています。要するに、直接侵害が成立する事案となっています。

 

スタイラスとか位置検出器の購入者は一般消費者が想定されていないので、「業として」という要件は満たされています。