2021年度ノーベル生理学・医学賞は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデビッド・ジュリアス氏と、スクリップス研究所のアーデム・パタプティアン氏の2人が受賞した。
２人の受賞者は感覚受容器の研究者であるが、人体の未知なる構造、機能を発見したということになる。
ジュリアス氏は、TRPV1と命名されている感覚受容器を発見した功績が認められた。神経系には感覚神経、運動神経、自律神経などがあるが、感覚神経は、感覚受容器が検出した信号を脳に伝達する機能がある。
ここで、感覚受容器は、五感に対応して、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚などがあるが、更に温覚、冷覚などの感覚受容器もある。
トウガラシは辛いが、この辛さの原因はカプサイシンという有機物質である。ジュリアス氏は、カプサイシン受容器を発見した。カプサイシン受容器は上述したようにTRPV1という専門用語で命名されている。
TRPV1は、辛さを検出するセンサーとして機能するだけでなく、同時に熱を検出するセンサーとしても機能するし、痛みを検出するセンサーとしても機能する。
カプサイシン受容器、即ち、TRPV1は、膜貫通タンパク質であるが、ここで膜とは細胞膜を意味する。ちなみに、細胞膜には多種多様な膜貫通タンパク質が発見されている。
パタプティアン氏は、触覚に関する研究をしていたが、皮膚や内臓に力学的な刺激を検出するセンサーがあることを発見した。
文献
ノーベル医学・生理学賞に米研究者2人 熱など感じる仕組み研究
NHK newsweb, 2021年10月4日