先日、知的財産を勉強する必要があるのだろうか、という質問を頂いた。

 

この質問の背景として、知的財産とか無体物というわけの分からないものは、どうでもよいのではないのかなとか、知的財産など勉強したくない、というようなことがありそうである。

 

ここでは、権利の発生に着目する。

 

知的財産の一部に関しては、特許庁に出願をして、審査、登録を経て、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの独占権が発生する

 

また、特許庁でなく、農林水産省に出願して、審査、登録を経て、育成者権という独占権が発生する。

 

一方、出願のような手続きを経ることなく、権利が発生することがある。著作権、不正競争防止法などである。

 

特許権、実用新案権、又は意匠権を侵害したとき、民事事件に発展することはあっても、刑事事件に発展することは極めて稀である。

 

ところが、育成者権又は著作権を侵害したり、不正競争防止法に違反したときには、刑事事件として摘発される場合がある。

 

YouTubeなどインターネットに関連して、著作権侵害罪で摘発された事案もある。

 

商標権侵害罪で刑事事件に発展することがあるが、このような案件は、通常、シャネル、ルイ・ヴィトンのような高級ブランドとか、コカ・コーラのような著名商標が関わっており、商標権侵害罪も、不正競争防止法違反も成立する。

 

知的財産について、ある程度の知識がないときには、知的財産を侵害して、いつの間にか刑事事件を起こしている、ということも十分にありえる。

 

窃盗は悪いということは分かっていても、インターネットに無断で他人のコンテンツをアップロードするのは悪いということは分からない人はいる。

 

窃盗罪の最高刑は懲役10年であるが、著作権侵害罪の最高刑も懲役10年。

 

動画サイトに他人の著作物を無断でアップロードして、広告収入を得て大儲けしたとき、法律上は大規模に窃盗をしているのと同様ということになる。

 

有名ブランドの偽物を製造、販売して大儲けしても、犯罪収益の没収ということも十分にありえる。

 

知的財産法を含めて、法令は遵守しましょう。