種苗法は、植物の新規な品種を登録することで、独占排他権を付与する。

 

植物の品種という日常用語は分かりやすいのであるが、種苗法は、「農林水産植物」という法律用語を定義している。

 

さて、植物と農林水産植物との差異は何だろう。

 

植物は葉緑素で光合成をするという特徴があるが、クロレラ、ミドリムシのような単細胞生物も葉緑素で光合成をする。それでは、クロレラ、ミドリムシのような単細胞生物が種苗法の保護対象になるかというと、そのようなことはない。

 

光合成をする単細胞生物は、「農林水産植物」に含まれない。

 

「農林水産植物」は、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類その他政令で定める植物と定義されている。

 

以下、種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類などについて検討する。

 

種子植物

 

種苗法という用語には、「種」という漢字が含まれているが、種子植物は保護対象の典型例である。ここで、種子植物は種を創り、種から発芽する植物である。

 

種子植物はさらに裸子植物と被子植物に大別される。

 

ところで、冷蔵庫の内部にジャガイモを保存していると、いつの間にか芽を出していることがある。ジャガイモは種イモから発芽するが、種子から発芽するのではないと誤解していたのだが、ジャガイモは、被子植物であり、種子植物でもあった。

 

シダ植物

 

次に、しだ植物も保護対象となっている。シダ植物は種を創ることもなく、種で繁殖するのでない。シダ植物は胞子で繁殖する。シダ植物の一種はワラビとなる。

 

ちなみに、種子植物もシダ植物も維管束植物であり、根、茎、葉という構造がある。

 

せんたい類

 

種苗法ではせんたい類とひらがなで表記しているが、蘚苔類と漢字で表記されることがある。

 

せんたい類とは、コケ植物を意味する。植物の分類としては、蘚苔類は、種子植物でもなく、シダ植物でもない。

 

多細胞の藻類

 

植物の生態を観察すると、地上で生育する植物もあれば、海中で生育する植物もある。藻類は海中で生育する植物の典型例である。

 

政令で定める植物としては、きのこ類が指定されている。