週末となると、ついつい本を読んでしまいます。
1990年代にサンタフェ研究所が中心となって複雑系とか複雑系科学という学術領域が新たに創設されたのだが、本書は複雑系に関する入門書になっている。
識者によって複雑系に関して強調する部分は異なるのだが、個人的には、ノバート・ウィーナーが創設したサイバネティックスという学術領域を複雑系、複雑系科学と言い換えたのに過ぎないという学説を採用している。
サイバネティックスが進化する過程において、非平衡系という要素が軽視されるようになっていったので、非平衡系という要素を強調する複雑系という名称に変わったのではないのかな。
『複雑系を解く確率モデル』という書籍は、複雑系に関する書籍であるが、統計物理学という側面からアプローチしている。
専門的な内容であるが、平易な文章で実に読みやすい。
個人的には、統計物理学は複雑系に関する要素といっても、重要な要素であるが、統計物理学のみでは捉えきれないモノが複雑系にあるのではないのかな。
複雑系では生命現象が必須の要素であるが、生命現象は物質やエネルギーの出入があり、開放非平衡系となっている、
生命現象は閉じた系となっていないので、エントロピーは増大する、というような閉じた系で成立する熱力学法則が成り立たないのである。