矩形波のマイクロ波が頭部に照射されたときに、マイクロ波の一部は頭部で反射するのですが、マイクロ波の一部は頭部で音波に変換して、この音波が頭部の内部を伝わって、骨伝導により音として聞こえます。

 

マイクロ波が頭部で反射する現象を応用すると、対人レーダーになります。

 

一方、マイクロ波が音波に変換して骨伝導で聞こえる現象は、マイクロ波聴覚効果といいます。マイクロ波聴覚効果については、多数のブログ記事があるので、そちらを参照してください。

 

そこで、対人レーダーからマイクロ波ビームが頭部に照射され、マイクロ波聴覚効果が起きているのでしたら、頭部に照射されているマイクロ波が検出できるのではないか、ということになります。

 

このような疑問はもっともなのですが…

 

対人レーダー、特に軍事利用されている対人レーダーは高度な物理が応用された極めて複雑な機械です。

 

一般人に分かりやすくなるように、マイクロ波聴覚効果とか対人レーダーについて大幅に省略した説明をしているだけであり、実際に用いられているマイクロ波について説明すれば、いくらでも難しくなります。

 

頭部に照射されているマイクロ波は矩形波ですが、矩形波に伴う物理現象を応用すると、マイクロ波という信号をノイズに偽装するというか、ノイズの中に隠すことができます。

 

レーダーは、対象に対して電波を発射して、対象で反射した電波を受信するので、無線通信という要素があるのですが、以下、無線通信とという観点で説明します。また、無線通信という用語に統一するのでなく、適宜、電波を使った通信と言い換えます。

 

テレビでもスマホでも電波を使って通信をしているのですが、通常、信号はノイズより大きいのです。信号はノイズより大きいので、受信機は信号を検出して、信号から音声とか映像を再生します。

 

信号がノイズより大きいというのは、ピークが観測できるというようなことです。

 

ここで、テレビとかスマホのような民生利用されている電波から、軍事利用されている電波にトピックを変えます。

 

敵軍と友軍が交戦している戦場がある場合において、戦場から離れた場所にいる司令官が戦場に電波を使って指令を伝えるという局面を考えてください。あるいは、戦場にいる部隊が、離れた場所にいる司令官に対して、電波を使ってメッセージを伝えるという局面を考えてください。

 

交戦中ですと、妨害電波を発射して、相手の無線通信を妨害することも十分に想定されます。

 

即ち、送信機が電波を発射して、受信機がこの電波を受信すればよいのですが、妨害電波があると、受信機が電波をキチンと受信できるとは限らない。

 

更に、送信機が電波を発射すると、この電波を目印にして敵がミサイルを発射して、送信機を破壊するリスクもあります。

 

そこで、送信機が電波を発射しても、この電波が探知されないのが望まれるます。

 

この課題は、第二次世界大戦の時代にすでに技術的に解決されており、電波が探知されることなく、電波を使った通信を可能とする技術が開発されています。

 

専門用語を使うと、スペクトル拡散通信といいます。

 

このような無線通信の根幹は、送信機から電波を発射するときに、電波をノイズに偽装するのです。ノイズの統計的性質、数学的性質まで考慮してノイズに偽装しているので、敵はノイズがあることしか分からない。

 

ところが、受信機はノイズに偽装されている信号を検出することができるのです。

 

このあたりの詳細を説明するとなると、乱数、疑似乱数、ランダムウォーク、確率論、ウィーナー過程などの数学を駆使することになるので、いくらでも難しくなります。例えば、確率論については下記のブログ記事を参照のこと。

 

https://ameblo.jp/patent123/entry-12616630957.html

 

大雑把な説明としては、商品についているバーコードとか、QRコードに似ています。バーコードは一次元であり、QRコードは二次元です。

 

バーコードを見たときに、太い線と細い線がランダムに並んでいるように見えます。QRコードでは小さな正方形などの図形がランダムに配置されているように見えます。

 

いずれもランダムに配置されているようですが、信号を伝えており、商品を識別することができます。

 

バーコードリーダーでバーコードをスキャンすると、ピッという音がして、バーコードを認識します。バーコードリーダーでは、太い線、細い線が並ぶ順序から商品を識別することができます。

 

無線通信でも似たようなことが可能であり、雑音のようなものが実は信号を伝えているということが可能です。具体的にどのようにして信号を伝えるかというのは、スペクトル拡散通信の説明になって大変、複雑なので、詳細は省略します。

 

要するに、頭部に照射されている矩形波のマイクロ波を検出しようとしても、ノイズが検出できるだけです。ノイズに見えても実はノイズでなく、頭に聞こえてくる声を伝えているのです。