シンガーソングライターの尾崎豊は、高校時代にシングル「15の夜」でデビューしていますが、歌詞に「盗んだバイクで走り出す」とあります。

 

どんな事情があるのか分かりませんが、バイクを盗んで走り出してはいけないでしょう。窃盗罪が成立するのは明らかです。

 

また、「卒業」という曲には「夜の校舎 窓ガラス 壊してまわった」という歌詞がありますが、窓ガラスを壊す行為は器物損壊罪が成立します。

 

尾崎豊のカリスマに影響されて、どこかの不良がバイクを盗んだとき、尾崎豊に窃盗教唆罪が成立する余地があります。同様に、尾崎豊に影響され、学生が校舎の窓ガラスを破壊したとき、尾崎豊に器物損壊教唆罪が成立する余地があります。

 

実際に尾崎豊に教唆罪が成立するか否かは、諸般の事情を考慮することになり、上述のような断片的な情報だけで判断できないのですが、このような歌詞は、治安、犯罪の防止という観点で問題があるのは明らかです。

 

尾崎豊は、1992年4月25日に26才という若さで亡くなっていますが、夭折するように何らかの秘密工作はなかったのでしょうかね。

 

追記

 

音楽家が作詞、作曲をして、その曲を演奏するというのは、音楽家の典型的な業務になりますが、刑法35条は正当な業務行為は不可罰である旨を規定しています。

 

更に、表現の自由は憲法に定められているので、作詞、作曲、演奏なども表現の自由による保護を受けることになります。

 

「15の夜」、「卒業」を作詞、作曲、演奏したといっても、若者の繊細で揺れ動く微妙な心を表現していると評価できるときには、正当業務行為に当たると解されます。

 

一方、現実にバイク窃盗や学校の窓ガラスの破壊が増加したときには、犯罪の予防という観点では、由々しき事態であります。

 

犯罪が増加するとなると、犯人を検挙して、犯罪の増加を防止したいのだが、刑法の解釈として尾崎豊が作詞、作曲、演奏する行為について、犯罪が成立しない。

 

そこで、当局が暗躍しないのかな。