インターネットにアクセスすると、オンラインゲームの広告が頻繫に表示されることがあるのですが、このブログ読者にオンラインゲームに熱中している人が多いと想定しています。

 

さて、オンラインゲームに熱中している人が題材となった症例が、第114回医師国家試験に出題されました。

 

引用開始

 

28歳の男性。ふらつきを主訴に家族に伴われて来院した。高校在学中に不登校となり、そのまま自宅2階の自室に引きこもるようになった。高校は退学となり、仕事には就かず1日中カーテンを閉め切ってオンラインゲームに熱中していた。食事は母親が自室の前に提供していたが偏食が激しい。3か月前から夜にコンビニエンスストアに出かける際に暗いところで歩行が左右にふらついていることに家族が気付いていた。立ちくらみはなく、日中はトイレに行くときに見かけるのみだが、ふらつきはみられないという。喫煙歴と飲酒歴はない。眼瞼結膜に貧血はなく、心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察では眼球運動は正常で眼振を認めない。指鼻試験および膝踵試験に異常を認めない。不随意運動はみられない。腱反射は全般に低下しており起立閉眼で体幹の動播が増強する。ビタミンB12とともにこの患者の症状の原因と考えられる不足栄養素はどれか。

 

a 鉄

b 銅

c 葉 酸

d ビタミンD

e マグネシウム

 

引用終了

 

ビタミンB12や銅が不足すると、ふらつきが起きるという因果関係が分かるか否かというのが問題の趣旨です。

 

この問題の正答率は2%となっていることから、医師であってもふらつきと銅不足の因果関係は知らないことがあるかもしれません。

 

もともと有機金属化学が専門である私にとっては、ビタミンB12のように金属原子を含有する有機化合物は専門なのですが、医師にとってはどうなのでしょうね。

 

ちなみに、脳の大脳基底核に黒質substantia nigraという神経核があり、運動の調整に関与しています。

 

亜鉛が過剰になると、銅が不足して、銅不足に起因する症状、ふらつきなどが現れることがあります。

 

ちなみに、ナトリウムを過剰に摂取して高血圧症があるときには、カリウムが不足します。すると、カリウムを多く摂取することで高血圧症を改善します。

 

生体内部の金属イオンのバランスは、かなり解明されてきています。

 

現実にふらつきなどの症状があるときには、医師の診察を受けてください。

 

 

文献

1 葉酸? どう考えても銅じゃない?【114E29】

第114回医師国試◎「ヒトコト言わせて!」受験生座談会《1》

田島健、日経メディカル、2020年3月17日

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t347/202003/564767_2.html