妄想科學倶楽部というブログに「覚えておきたい、ニセ科学リスト」という記事が掲載されている(文献1)。確かにこのリストに記載されているほとんどはニセ科学であるが、このリストに水から作る燃料が掲載されている点に違和感を覚える。

 

妄想科學倶楽部は、水の電気分解について言及しているのだが、電気分解以外の手段で水を分解して、水素ガスに変換することができる。具体的には、酸化チタン光触媒を使えば、水を酸素ガスと水素ガスに分解することにより、水素ガスという燃料を抽出することができる(文献2)。例えば、水中に酸化チタンを投入して、日光をあてるだけで、酸素ガスと水素ガスに変わる。

 

酸化チタン光触媒は、本多・藤嶋効果ともいい、東京大学工学部5号館に所属していた本多先生、藤嶋先生などが貢献した(文献2)。藤嶋昭先生は平成22年から東京理科大学学長を務めている。

 

科学技術は多種多彩なので、触媒などの専門家は光触媒について知っているが、別個の分野の専門家は知らないでしょうね。「妄想科學倶楽部」は光触媒について言及していないだけであり、光触媒について知ったときには、光触媒の作用、機能を否定したりはしないと想定される。

 

さて、マイクロ波聴覚効果という物理現象もごく少数の専門家は知っているが大多数は知らない。ところが、電波妄想について講義する精神医学専門家が電波妄想について決して認めようとしないので、科学として精神医学の正当性に疑問がある。

 

文献

1 「覚えておきたい、ニセ科学リスト」、妄想科學倶楽部、2007年11月28日

http://docseri.hatenablog.jp/entry/20071128/1196234450

 

2 佐藤健太郎、光触媒の新世界 市場との対話が生んだブレイクスルー、東京大学、2014年6月10日

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/f_00057.html