国会で組織犯罪処罰法の改正案が審議されていますが、森林でキノコを採る行為が例示されています。
そこで、法律の解説をいたします。
森林法197条は森林窃盗について規定しており、森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する、と定めます。
森林法第百九十八条は、森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
森林窃盗罪は、刑法に定める窃盗罪の特別規定になります。
すると、「裏山に登って、きのこを取ろうか」と友人と会話して、
「そうだね、今週末に行こうか」ということになったとします。
そして、この裏山が保安林のときには、森林法198条が適用されるのです。
東京高裁昭和45(う)1201事件は、森林法の「産物とは森林より産出する一切の物をいい、有機的産出物はもち論無機的産出物をも含むものと解するのが相当である。」と判示します。
従って、きのこも森林法198条の産物に該当するのです。
そこで、上記の会話により、森林窃盗の計画が成立したということになります。
すると、組織犯罪処罰法の改正案が国会を通過して法律が制定されると、
キノコを採取する前に計画段階で逮捕することが可能になるということです。
この法律は森林窃盗罪などの犯罪が成立する前、計画段階で犯罪が成立するように定めるのです。