ジグゾーパズルは多数のピースに分割されるが、100のピースに分割した事例を考える。1つや2つのピースからジグゾーパズルの全体は復元できず、ジグゾーパズルの絵柄は分からない。しかし、100のピースを組み合わせると必ず絵柄が再現することができる。

 

ジグゾーパズルでは、欠けているピースとか、余分なピースとか、似ているが実は異なるピースはなく、いずれのピースが必ずどこかに当てはめることができる。

 

さて、国家安全保障を理由として、ある装置が秘密に指定されている。この装置の構成要素を100の別個の専門分野に分解した事例を考える。専門家は1つか2つの専門分野について深く掘り下げていく。しかし、1つか2つの専門分野をどれだけ深く研究しても、秘密の装置の全体像は把握することはできない。一方、100の専門分野を統合すると、秘密の装置を再現することはできる。

 

そこで、秘密の装置を再現する妨害を考える。100の専門分野のうち、中心となる専門分野をいくつか秘密にする。ジグゾーパズルの肝心なピースが欠落しているようなものである。

 

個々の専門分野が独自に発展していき、多種多様な論文が刊行され、一部の論文は秘密の装置の再現に関連する一方、多くの論文は秘密の装置の再現に関連しない。ジグゾーパズルに余計なピースがあるようなものである。

 

専門分野によっては、秘密の装置の再現にそのまま応用できないのだが、似たような分野に発展していく。ジグゾーパズルのピースが概ね同じなのだが、形状が少し変形していて、キチンとはまらないのである。

 

すると、秘密の装置のピースはある程度、分かっても、全体は分からない。目の不自由な人が複数で象を触って、象とはどのような存在か会話しているようなものである。