おはようございます。

 

さて、今日、6月4日(土)午後2時から午後4時まで

氷川区民会館(渋谷区東2-20-18)で勉強会を開催します。

 

受付は1時40分から始まります。

 

今回は、マイクロ波聴覚効果を利用した通信に対する防御法に関し、

具体的には電子戦のトピックになります。

 

今回のトピックの背景ですが、 

マイクロ波聴覚効果は一般に知られている現象ではありませんが、

50年以上前から学術論文に報告されています。

 

例えば、文献1~文献9がマイクロ波聴覚効果に言及しており、

最近、私が日本語の解説論文にまとめました。

 

マイクロ波聴覚効果を応用した通信は軍事通信の一種であり、

通信技術としては極めて高度な技術が使われています。

 

例えば、米国空軍が米国特許6470214号を

取得していることから、

軍事通信ということが立証できます。

 

軍事通信では、戦場で軍隊が無線通信をするのですから、

敵軍が妨害電波を発射するという状況であっても、

通信が可能という信頼性、ロバストネスが要求されます。

 

アルミ箔など多少の妨害があっても、

通信は継続します。

 

特定秘密保護法は、

通信の方法を特定秘密にすることを認めているので(別表1号)、

永年に渡って特定秘密に指定されているのでしょう。

 

特定秘密保護法の制定前は、

自衛隊法に規定する防衛秘密とされていたのです。

 

さて、一般社会、特に医学界は、

幻聴は統合失調症などの精神疾患の症状と判断します。

 

すると、一般社会、医学界に対して、

マイクロ波の悪用による国家犯罪ということを

示すことが対策になります。

 

デモをしたり、街頭演説をしたり、

政治家に陳情をして解決するとよいのですが、

そもそもマイクロ波が聞こえるという

物理現象がほとんど知られていません。

 

そもそもマイクロ波聴覚効果という

物理現象があることは、

電波を研究する専門家であっても、

知らない人が多いのが実情です。

 

マイクロ波聴覚効果を知らなかったり不可能と判断したときには、

マイクロ波聴覚効果を応用した通信も不可能と判断することになり、

このような不可能な通信の対策など取り組みもしないのです。

 

このような観点から、

マイクロ波聴覚効果という物理現象があることを

理工系の学者に伝えるのが第一歩と考えます。

 

さて、今回、「電子戦:マイクロ波の攻撃と防御」というトピックですが、

マイクロ波聴覚効果を応用した通信の被害者から

防御に関する質問を毎回、受けるので、

今回はマイクロ波を巡る攻撃と防御という観点で講演します。

 

実はこのような攻撃と防御は、

軍事の電子戦electronic warfareそのものになります。

 

やはり攻撃について詳しくならないと、

その防御はできないので、

攻撃と防御の双方に触れます。

 

電子戦は、戦闘機や戦艦に搭載されている誘導システム、並びに、

ミサイル防衛システムに関連する部分があるのですが、

このような国家安全保障に関わるようなところは

言及しません。

 

レーダー用送信機から

人間の頭部にマイクロ波パルスを照射するという攻撃、及び、

このような攻撃に対する防御という観点でまとめます。

 
 

マイクロ波聴覚効果に関する文献

 

1.論文タイトルの和訳:耳によりマイクロ波信号を検知したという観察

論文タイトル:An observation on the detection bythe ear of

microwave signals

発表雑誌:Proceedings of IRE 44:2A, (1956)

著者:Walter Tolles and William Horvarth

著者の所属:Airborne Instruments Laboratory,

Department of Medical and BiologicalPhysics

概要:出力が50万ワットであり、

周波数が1300メガヘルツであり、

パルス幅が2マイクロ秒であり、かつ、

パルス繰り返し回数が1秒に600回という条件で、

マイクロ波が聞こえた。

備考:雑誌の名称にあるIREとは、ラジオ工学者協会(The Institute of Radio Engineers)の略語であり、ラジオ工学者協会が発行している学会誌である。

Proceedings of IREは、現在、Proceedings ofIEEEになっている。

 

2.論文タイトルの和訳:「変調された電磁波エネルギーに対するヒト聴覚系の応答」

Auditory response to pulsedradiofrequency energy

to human auditory system”

Frey, A. H., Journal of Applied Physiology 1962、17(4)689~692ページ

概要:周波数が425MHz、1.31GHz、2.982GHzのマイクロ波は、パルス波形のとき、音として聞こえた。

備考:論文タイトル中、「変調された電磁波エネルギー」とは、パルス変調されたマイクロ波を意味します。「変調」とは無線通信技術の専門用語であり、音声やデータなどの信号波で搬送波を変化させるという意味で使われています。変調には、振幅変調、周波数変調、パルス変調など様々な変調方式がありますが、フレイ論文はパルス変調に関します。

 

3.論文タイトルの和訳:「パルス化されたUHF電磁波エネルギーの照射によるヒトの知覚」

Science 27 July 1973:
Vol. 181 no. 4097 pp. 356-358
Human Perception of Illumination with

Pulsed Ultrahigh-Frequency ElectromagneticEnergy

Allan H. Frey, Rodman Messenger Jr.

概要:UHFとは、300メガヘルツから3000メガヘルツ(3ギガヘルツ)の周波数帯であり、パルス波形のときに、音として聞こえます。この論文は、マイクロ波刺激により聞こえる音の大きさが、パルスのピーク電力に依存することを示した。

 

3.Chung-Kwang Chou, Arthur W. Guy, RobertGalambos,

"Auditory perception ofradio-frequency electromagnetic fields"

Journal of Acoustic Society of America1982, 71(6), June, 1321-1334

 

「マイクロ波の可聴;マイクロ波パルスによる熱弾性波聴覚刺激の証拠」

Microwave Hearing:Evidence for

Thermoacoustic Auditory Stimulation byPulsed Microwave”

Science, 19 July, 1974, Vol. 185, No. 4147,pp. 256-258.

Kenneth R. Foster, Edward D. Finch

著者の所属:Naval Medical Research Institute,

National Naval Medical Center,
Bethesda, Maryland 20014
 
 

Olsen, Richard G.; Lin, J.C.,

"Microwave-Induced Pressure Waves inMammalian Brains,"

IEEE Transactions on BiomedicalEngineering,

vol.BME-30, no.5, pp.289294, May 1983

 

タイトル和訳:「マイクロ波パルスにより発生する蝸牛のマイクロホン電位」

Chou C, Galambos R, Guy AW, Lovely RH.

Cochlear microphonics generated bymicrowave pulses”

The Journal of Microwave Power, 1975,Vol.10(4) , 361-367.

 

論文タイトル和訳「マイクロ波聴覚効果における中枢神経系が関与している分析」

Eugene M. Taylor, Bonnie T. Ashleman

Analysis of Central Nervous Involvement

in the Microwave Auditory Effect”
1974, Brain Research, Vol. 74, pp. 201-208.
 

論文タイトル和訳「パルス化された電波エネルギーの聴覚応答」

Elder, J.A. and Chou, C.K.,

Auditory response to pulsedradiofrequency energy”

Bioelectromagnetics, 2003、24: S162S173.

 

9.社団法人 電気学会

高周波電磁界の生体効果に関する計測技術調査専門員会 編集

「電磁界の生体効果と計測」

1995年2月10日

コロナ社出版